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【2024/04/19 01:43 】 |
七夕の過ごし方!!(現)
一周年御礼(Sw,Sp,学,現)





― 七夕の過ごし方!! ―


*現代パロの二人の場合


「明日は七夕ですね」

そう微笑みながら夜に星を見ようと言った彼は酷く楽しそうで、僕はそれにそっぽを向きながら頷いた。
それはもう昔からの決まった行事のようなもので、セバスチャンの言葉はいわばただの確認作業のようなものだろう。
けれど今回は昔とは違う。
去年まではただの幼馴染だったけれど、今年は恋人同士なのだ。
その違いを嬉しく思いつつも恥ずかしくて真っ直ぐ向き合えなかった僕にセバスチャンはそっと頭を撫でた。


「晴れて良かったですね」
「そうだな…」

僕は家から出る前に肩から掛けられた小さなタオルケットを胸元に寄せながら空を見上げる。
いつもの、家から少し離れたところにある高台から見る夜空は何年経っても変わらず美しい。
変わらずにあることの嬉しさと、何度見ても美しいソレに僕は口元を緩めた。

「今頃、織姫と彦星は天の川の上で逢引を楽しんでいるのでしょうね」
「あぁ」

これもいつもの会話。
僕がもっと小さい頃に聞かせてくれた物語の二人。
年に1回しか逢えなくて、その話しを聞いた瞬間に怒り狂ったことをよく憶えている。
逢いたい者同士が逢えないなんて認めない、と。
何とも恥ずかしい思い出だ。
もう忘れてしまいたいのだけれど、この日になるとどうしても思い出してしまうのだから困ったもので。

でもまぁ、いいだろう。
今やっと愛し合う二人が出会えているのだ。
それを考えればそんな小さな恥ずかしさも捨てて、一緒に喜びたくなる。
それはきっと。

「シエル…」
「セバスチャン?」

隣に想い合う彼がいるからだ。

セバスチャンの声に反応して彼に視線を向ければ、細められた瞳とぶつかり合う。
そこに深い怒りは無いものの、あまり良い感情も見つからない。
一体なぜ急に不機嫌になってしまったのだろうか。

「セバスチャン」

もう一度疑問の意を込めて名前を呼べば、僕との距離を詰め、まるでダンスでもするかのように片手で僕の腰を取り、もう片方の手で顎を掬い取る。
その素早い動作に驚きつつも、あまりにも自然過ぎて抵抗の余地などどこにもなかった。

「私を見てください、シエル」
「は?」

そう言う近くなった顔は至極真面目な表情。
しかしなぜ急にそんなことを言われるのかが分からず僕は思い切り怪訝な顔をする。

「何だ、急に」
「いつも思っていたんですよね」
夜空を見上げるシエルはつまらない、と。

頬にチュッと温かい唇が振ってくる。
ポカンとした僕はそれを恥ずかしがることもなく、そのまま受け止めて。

「~~~~~~ッ!!」

どういう意味か理解した瞬間に一気に顔を真っ赤にさせた。
ようするに、ようするにだ。
馬鹿なコイツのことだから、馬鹿すぎるコイツのことだから!

「それは…自分以外を見る僕が…嫌だ…ということ、か?」
「おや、やっと私のことを理解出来るようになりましたね」

満足そうに笑みを浮かべながら再び唇を頬に落とす。

「ば、ば、ばかだろう!」

馬鹿だとは思っているけれど、ここまで馬鹿だとは!
まさか毎年思っていたのか?!
そう考えると余計に恥ずかしくなり、僕は逃げるように一歩後ろに下がるけれど、それを許すことなくセバスチャンは腰を引っ張ってもっと距離を近くしてしまう。

「馬鹿?そんなことないでしょう。愛する者の瞳には自分以外映らなくていいという考えは当たり前です」
「でも、夜空くらい…いいだろう」

コイツの執着心、そして嫉妬心が異常だというのも理解していたけれど、ここまでハッキリと言葉にされるとどう返していいのか分からなくなる。
目線だけ別のところに泳がせれば強く顎を掴まれ、逃げることだけではなく、視線を泳がせることすら許されない。
でも……。

「嫌ですよ」
貴方は私のものでしょう?

この“枷”がなぜか心地いい。
だって、それだけコイツも。

「…そうだな」

僕のものだということが分かるから。

僕はクスリと笑い、腕をセバスチャンの首に回し自ら顔を近づける。
恥ずかしさは勿論消えないけれど、それよりも相手の愛しさが勝るから。
やっとセバスチャンだけを見たことに満足したのか、それともこの気持ちが伝わったのか相手は優しく微笑んで、ゆっくりと唇を近づける。

「いい子ですね」
「…ガキ扱いするな」
「はいはい」

近づいた唇に少しだけ噛み付いて。
しかしすぐに深い口付けへ。

頭上で流れ星が数個流れたけれど、そんなことどうでもよくて瞳を閉じる。
今大切なのは、欲しいのは彼の与える熱だけだから。

(ったく…)

きっと来年もここに来るだろうけれど、
もう夜空を見上げることはないだろう。

僕はクスリと心の中で笑った。





END



****
あとがき
サイト一周年の日7月7日と言えば七夕!ということで、
「私宅セバシエCP達の七夕の夜の過ごし方」なんて如何でしょう?というお声を頂いたので書かせていただきました~^^
7月7日は大分過ぎてしまいましたので、8月7日ということでお願いします(汗)
今回4パターン(否、5パターンw)書かせていただきましたが…。
うん、お前ら星見ろ。

各CPごとの微妙な違いが書いていて楽しかったです!
素敵なお声をありがとうございました(≧▽≦)/


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【2011/07/17 16:01 】 | Text | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
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