忍者ブログ
  • 2024.03
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • 2024.05
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

【2024/04/20 18:47 】 |
3日前/ずるいことなんて、一番自分が理解している。
一周年オマケ。
(セバス視点)






しかし、警鐘の意味はすぐに理解することとなる。

「やっぱりセバスチャンはずるいね」

この舞台を作り上げた餓鬼はそう言った。

“ずるい”

その言葉は、彼の気持ちを知りつつも“まだ”本当の恋人同士として接していないからだろう。
自分の気持ちを彼に伝えて、そしてこんな作られた舞台を降りる…否、この舞台を本物のものとする。
しかしまだ自分は彼に気持ちを伝えていなかった。

「ま、いいよ。俺はシエルと話がしたいから部屋から出てって」
「…私は邪魔だと?」
「うん。だってセバスチャンがいたらシエルは素直に話さないだろう?」
「“今は恋人”の私が離れて、別の人間と二人きりにさせろというのは面白い話ですね」
「……その台詞、もう一度言ってよ」

なぜですか。
そう聞く言葉は出てこない。
いいですよ。
そう嗤う言葉も出てこない。

「そうだ、シエルを見て言って。さっきの台詞」
「・・・・」

言えるわけが、ないのだ。

―――ではいいのですね?私が“私のまま”貴方の恋人になって

嘘だ。
本当にそうするのならば、もう彼にこの気持ちを伝えている。
むしろ、そんなことを確認する必要なんてどこにもない。
欲しいなら手に入れる、それが己の筈なのだから。

(気が付いてはいけない) 気が付いたら、ゲームオーバー。

ならば、なぜ確認した。
(もう答えは出ていた筈だ。昨日気が付いていなかっただけで)

きっとその確認は無意識で、
(―――もし僕に大切な人が出来たのならば、そいつを僕から遠ざける)

本当は、本当に聞きたかったのは、
―――ではいいのですね?私が“悪魔の私が”貴方の恋人になって


“ずるいよ。セバスチャンはずるい。ねぇ?”


「もうやめろアロイスっ」

彼は大きな声で、止めに入る。

「セバスチャンも変な意地を張ってないで別の仕事をしてこい。別にもうここでやらなければいけない仕事はないだろう。食器を片付けるのも後ででいい」

きっと自分と餓鬼の間に生まれた不穏な空気を感じて、止めに入ってくれたのだろう。
その証拠に彼からは不安そうな視線を感じる。
だから。

「嫉妬させました?」
「…さっさと出て行けッ!!」

笑ってごまかして。

出て行った部屋の先で、

「…本当に、私はずるいですね」

壁に凭れ掛かり、小さくそう笑った。






気が付いた。
もう気が付いてしまった。
どうして自分が彼に気持ちを伝えなかったのか。

ただ、逃げているのだ。
己の気持ちから。
彼の気持ちから。
いずれ来る未来から。

それなのに、なんでもないように振舞って。

「どうなされました?大好きなスイーツにもあまり手をつけず…」

それなのに、彼を自分のものにしたくて。

「午前中アロイス様に何を言われたのかは知りません。ですがもう別にいいでしょう。そこまで気にすることなどありません。これ以上私以外のことを考えていたら浮気とみなしますよ」

それなのに、
それなのに、

「セバスチャン」
「……なんでしょう」
「お前はどうしてこのゲー」

気が付かないで欲しいと願っている。
己の気持ちを。
彼の気持ちを。
いずれ来る未来を。
それでも、本当は。

「いいじゃないですか。恋人同士なのですから」
口付けるのも当たり前です。

気付いて欲しいのだ。
だって、本当は喉から手が出るほど、

「セバス、チャン」
「坊ちゃん…」

彼が欲しいのだから。


矛盾した気持ち。
答えの出ない迷路。

けれど恋人ゲームは、
あと残り3日。


 

拍手

PR
【2011/09/08 17:11 】 | Project | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
<<2日前/ガラスの靴なんて履いていないから。 | ホーム | You are lovely!!(猫語理解w)>>
有り難いご意見
貴重なご意見の投稿














虎カムバック
トラックバックURL

<<前ページ | ホーム | 次ページ>>