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【2024/04/29 09:30 】 |
ばれないようご注意を
契約恋愛五題



「最近のお前は妙だな」
「そうですか?」
「あぁ。人間らしくなった」

シエルは哂いながら言う。

「それは人間らしくしていろというご命令からでは?」
「いや、きっと違うな」
「・・・では何だと言うのですか?」

セバスチャンは哂わずに言う。

「さぁな。僕にも分からない」
分かっていたら、妙だという単語は使わないだろう?

言いながら空になったティーカップをセバスチャンに手渡す。
それを見ながらセバスチャンは。


まるで、これは貴方から向けられている感情ですね。


空っぽのティーカップを受け取り、セバスチャンはシエルに問いかける。

「坊ちゃん」
「何だ」
「人間らしくなった私はどう思いますか?」
「そうだな・・・」

シエルは少し考え込み、またすぐに哂い返す。

「扱いづらくなった」
「人間らしくなったのに?」
「人間らしくなったからだ」
人間の方が何を考えているのかよっぽど分からないだろう?悪魔。

その言葉にセバスチャンは苦笑する。
そう言われればそうだ。
悪魔は人間と違って、単純明快な生き物だから。
しかしその悪魔が人間らしくなってきたという意味は。

「じゃぁ坊ちゃんは、だんだん私の考えていることが分からなくなってきていると?」
「まぁ、いつも分かっていたわけではないが。予測がしづらくなってきた・・・ということだな」
「それは、ようござました」
「嫌味か?」
「いえ、本心です」

自分のことなど分かってくれなくていい。
むしろ、分かられたら困るのだ。


このティーカップ一杯に貴方への想いがあるなんて。


セバスチャンは自嘲気味に笑いながら、空のティーカップを指で弾いた。





END



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【2011/03/24 18:13 】 | Title | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
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