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【2024/03/28 22:26 】 |
噛んだら壊れる世界なんて無価値だよね

鶫様へ





時には見えない世界というものが存在する。
それは自分の背後にあったり、故意に隠されていたりと・・・見えない理由はそれぞれだ。
けれどなぜか、そこに世界があるのだということは認識出来るのだから不思議なものだろう。

「そう思わないかい?君も」
「不思議というよりも、俺としては気に食わんな」

自分には見えない世界が背後にあるなんて気持ち悪くて敵わん、とディーデリヒは田中が持ってきたサンドイッチを口に入れながら返す。
食べるか喋るかどっちかにしなよ、と口を開きかけたが、質問を投げかけたのは此方の方だ。
食べている最中にも関わらず返事をしたのは、彼なりの優しさかもしれない。
ヴィンセントは苦笑しながら組んだ膝の上に頬杖をついて、息を吐いた。

「それはそうかもしれないけれど、全ての世界が自分の手中にあったら少しつまらなくないかい?」
「いや。変な不安分子が紛れ込むことを考えれば、全て把握しておいた方が管理をするのも楽だろう」
「管理、ね。君も上に立つ者らしい意見を言うなぁ」
「お前が言うな、お前が」

ディーデリヒはパンくずのついた手をパンパンと払いながら眉間に皴を寄せる。
その様子にこれは突っ込むべきだろうと思い、床が汚れるだろうと文句を言えば、掃除するのはお前じゃないんだからいいだろうと返してくる。
全く、この友人には困ったものだよ。
けれど逆から見たら、自分の方がこの友人よりも困った人間なのだろう。

「裏社会を高みから見物し、それをゲームのように遊ぶお前がそんな言葉を吐いたら、ただの嫌味だぞ」
「そんなつもりはないんだけどね」
「少しはいろんなもんを自重しろ。どうせ分かってんだろ」
「まぁ、否定はしないよ」
だけど。

ヴィンセントは視線を動かし、窓の外を見る。
そこにはポッカリと月が浮かんでいるのだが、綺麗というよりも。
闇の中に穴が開いてしまったような・・・そこにあるのが間違えなような。
そんな月に見える。

「裏社会の秩序と呼ばれている僕よりも、まだ上はいる。君たちから見たら僕はまるで玉座に座っているかのように見えるかもしれないが、本当は地べたに座らされている犬に過ぎないんだよ」

そう。
鎖につながれ、飼い主に尻尾を振る卑下な犬。
飼い主の存在は知っているけれど、首についている鎖の先はどこに続いているか分からない。
まさに、背後に見えない世界が広がっているのだ。

「それに不満を持ったこともなければ、不安を持ったことはないよ。背後に立っている“不安分子”を君のように把握したいとも思わない。むしろ歓迎するね。犬だって遊び道具は必要だ」
厭きることの無い道具が。

ヴィンセントは口角を吊り上げ、微笑みを作る。
見るからに優しそうな顔。眉目美麗とはこういうものを言うんだろう。
けれどその微笑は決して温かみはなく、むしろ氷の刃のように冷たいものだ。
ディーデリヒはそれを見つめながら無意識に唾を飲み込んだ。

「だから少しくらい遊んだっていいと思うんだ。甘噛みくらいなら飼い主も可愛いもんだと思ってくれるだろう。あの方はそんなに狭い心をお持ちではないだろうしね。ははは、楽しみだねディーデリヒ」
「・・・・・・何する気だ」
「別に?今言った通りだよ、飼い主に甘噛みするんだ。いや・・・飼い主が用意してくれた道具で遊ぶ、と言った方が正しいかな」

ヴィンセント・ファントムハイヴは言う。

「久しぶりに飼い主がゲームで遊んでくれているんだ。それに僕も答えなくちゃいけない」

女王の番犬は言う。

「僕はゲームに貪欲だからね」

後に生まれるシエル・ファントムハイヴの

父親はそう言った。












ディーデリヒが帰ったあと。
闇に開いた穴が随分と高くに上がった時間に、屋敷の廊下に無音の足音が響き渡る。
その足音の持ち主は大きな荷物を抱えゆっくりと、けれど他の人間のゆっくりよりも速いスピードで進んでいく。
その身には燕尾服を纏っているが、どうみてもただの使用人には見えない。
けれどそれがこの屋敷では当たり前、否、そうでなければ生き残れないのだから、哂える話だろう。
その者はある扉の前に着いた途端ピタリと足を止め、滑らかな動きでノックをする。

「旦那様、田中でございます」

その者・・・田中がそう声を掛けると、中から「入って」という返事が。

「失礼します」

田中は大きな荷物を片手で抑えたままドアノブに手を掛け、音を立てながら開けた。
扉が開いたその先には、この使用人の主・・・先ほどまでディーデリヒと話しをしていたヴィンセント・ファントムハイヴの姿があった。
ヴィンセントは楽しそうに口元に弧を描きながら椅子に座っており、田中に早く部屋へ入るよう目線で促してくる姿はまるで玩具を待っていた子供のようだ。

「お疲れ様」
連れてきたね。

田中の抱えている荷物を見つめながら言う。
それに田中は頷き、いつも自分が立つ執務室の中央にその荷物を置いた。そしてその荷物の口に回されている手拭を取り、言葉を放つことだけを自由にさせる。

「さて、色々聞かせてもらいたいんだけどさ」

そう、田中が運んでいた荷物とは人間だったのだ。
今回裏社会を騒がせていた・・・否、今も騒がせている犯人の一人。
今その者は手足を拘束され、そして目隠しまでされている。
裏社会の人間を何人も狩っているのだ、これくらいされても文句はないだろう。

「君たちは一体何が狙いで裏社会の人間を次々と殺していっているのかな」
「・・・・」
「あれ?せっかく猿轡を取ってあげたのにダンマリ?」

ヴィンセントは苦笑する。
けれどその瞳はどこまでも冷たいもので、むしろ犯人は目隠しをされていて良かったのではないかと思えるほどだ。

「裏社会で謎の殺人事件が起きているから早急にその犯人を潰した筈なのに、なぜかその事件は未だに続いていて、潰しても潰しても、まるで蟻のように湧いて出てくるんだよね。おかげで事件は今だに未解決」
「・・・・」
「君たちが何かのマフィアなのかと思って調べたんだけど結局何も分からない。どういうことかな?」
「・・・・」

ヴィンセントの言葉に犯人は黙ったまま。
こんな状況にも関わらず黙っていられるということは、随分と精神的にも鍛えられている者なのか、それともただの楽観的馬鹿か。
一向に話しが進まない様子に、田中が口を挟む。

「如何いたしましょうか」
「いいよ田中。何もしなくていい」
「しかし旦那様」
「大丈夫、僕がするから」

ヴィンセントは田中を止めるように手で制しながら立ち上がり、大きな足音を立てながら犯人に近づく。
手足が拘束されているからと言っても油断は出来ないと田中は鋭く視線を投げかけるが、ヴィンセントはそれを無視したままその犯人の目の前に座り、耳元に口を寄せて囁くように話し出した。

「もしかして、何も知らされていないのかな。ただの上からの命令で、それ以外なんにも分からない・・・とか?」

黒い手袋を嵌めた手が、ゆっくりとその耳を撫で上げる。
その感触に驚いたのか、それとも恐怖か犯人の肩がピクリと反応し、短い息を吐くが何も答えない。
ヴィンセントはそれを気にする様子も無く、耳から頬へ、そして唇へと手を這わせて笑う。

「その可能性って多いんだよね、こういう場合。動く人数が多いと中心に立つ者がバレる可能性が高くなる。だから影武者を立てたり、その存在を教えなかったりするんだ」

まるで口付けをするかのように唇を優しく撫でていく。
その動作は酷く優しい、だからこそ恐怖心が煽られる。

「君はゲームが得意だったりするかな?頭がよく回る人だったらそのことに気が付いて自分に立つ背後が誰なのか疑問を持ったりするものだけど・・・」
ただの馬鹿は上からの命令を鵜呑みにするだけだからね。

ピタリと撫でる手が止まったかと思えば、耳元に寄せていた口を離し、今度は唇の方へと近づける。
唇が触れ合うまで距離はあるが、犯人相手としては近いものだろう。
田中は咎めるように「旦那様」と呼ぶが、やはりヴィンセントはそれを無視したまま続ける。

「君はどっち?知りたくない?自分の背後に広がる知らない世界のことを。見えない世界の真実を。君が教えられない代わりに僕が教えてあげようか」

フゥ・・・と唇に息を吹きかけ囁く。

「僕が君に教えてあげる」








「だれ、だ」

掠れた小さな声が響く。
どうやら犯人はヴィンセントの言葉に興味を示したらしい。
自分の背後に誰かが立っているというのを元々知っていたのか、それともヴィンセントに言われて初めて気が付いたのか。それはどちらでもいい。
(単純だなぁ)
そう嘲けながらもヴィンセントは酷く満足した笑みを浮かべ立ち上がり両手を広げ。
高らかに今回この事件の本当の犯人の名前を口にする。

「女王陛下さ!」
「なッ!」

その名前に犯人は今までの中で一番大きな反応を示す。
しかし驚いていたのは犯人だけではなく田中も若干目を見開いているがすぐに冷静さを取り戻し、無表情で・・・殺気を必死に殺した状態で疑問を口にした。

「・・・それは、女王が我らを裏切ったということですかな?」
「いや、違うと思うよ?」

やっと田中に対して言葉を返したヴィンセントは、相手の様子とは全く違うケロリとした様子で笑う。
普段その表情をしていたのならば特に何もないのだが、今この空間の中でその表情は異質だ。
冷静というよりも沈静。穏やかというよりも狂っている。笑っているというよりも嘲けている。
光の中に穴が開いてしまったような・・・そこにあるのが間違えなような。
そんな彼。

「きっとこれは僕たちを試しているんだ」
「試している?」
「そうだよ。僕らファントムハイヴ家は裏社会の秩序という名の他に女王の番犬という名も持っているだろう?その番犬が飼い主である女王に噛みつかないかゲームしているんじゃないかな?」
君たちはそのゲームの駒ってわけさ。

まさか自分の後ろにある世界がそんなものだとは思わなかったのだろう。
犯人はどこか腑抜けたような様子で、全身から力が抜けてしまっていた。
(君もディーデリヒと同じようなものか)
見えない世界が背後にあったら気持ち悪い。
見えない世界が背後にあったら怖い。
その見えなかった世界が見えてしまったとき、驚きと恐怖が同時に訪れ。
自分の世界と反するものならばそれを排除しようと動くのだろう。
だから殺し合いというものは絶えない。
(僕は陛下がこの事件の犯人だと考えが至ったとき、ゾクゾクしたんだけどな)
見えない世界が動き出し、背後に立つどころか僕を包み込む。
見ることが出来ない、それも許されていないものが全身を包みだなんて。
想像しただけで興奮した。

この世の中に理解出来ないものは必要だ。
謎がなければ面白くない。
恐怖がなければ世界は無色で味気ないだろう?

その理解出来ないものと対峙するとき。
その理解出来ないものを潰しに行こうと歩を進めたとき。
あるのは彩る恐怖だけれど。
それは恐怖という名の快感だ・・・――――


「さて、これで君は背後にいる人を知れたわけだけど。これからどうするの?」
「え?」
「女王陛下に謁見して、どういうつもりなのか聞いてみる?それとも女王陛下がバックにいるなら心強いと裏社会で好き勝手暴れちゃう?」
「お待ちください旦那様。この者はこのまま処理するのではないのですか?」
「え、しないよ?」

再びヴィンセントはケロリと笑った。

「こんな愉しいことになっているのに、ここで処理したらつまらないだろう」
「しかしそれがもし本当ならば、この者に情報を持たせたまま放したことを陛下に知られたら旦那様の身が」
「平気だよ田中。そうならないから」
「・・・・・・そのお言葉がどこから出てくるのか分からない以上、その者を開放するわけにはいきませぬ」

ヴィンセント・ファントムハイヴを守る者は瞳を細めて、これだけは譲らない、と頑なに主人の言葉に首を振る。
そんな田中を無視することは流石に躊躇われたのか、ヴィンセントはため息をつきながら「後で説明するから」と言い、今はこっちが先と再び犯人の前に屈みこんだ。

「聞いていたから分かったと思うけど、この後君を解放するから。この情報は好きにしたらいい。仲間に知らせるでも聞かなかった振りをするでも、さっき言ったように女王陛下に真相を聞きにいくてでも、君の好きにしなよ」
「お、まえは、それでいいのか?」
「なに、僕の心配をしてくれるの?面白いね君。うん、別に僕は構わないよ。君がどこで何をどうしようが構わない。僕が今したいことはこの情報をもった君を開放することだ」
「・・・何かを企んでいる、と踏んでいいのか」
「あはは、そうだね。もしかしたら企んでいるかもしれないし、企んでいないかもしれない。でも安心してよ。僕は今の女王陛下のように異質なことはしないから。僕は僕がやるべきことをするだけだ」

そうニッコリ微笑むとヴィンセントは立ち上がり、田中へ視線を飛ばす。

「明日の早朝に開放するから、しばらく地下において置いて」
勝手に殺しちゃ駄目だよ。

物騒な、しかし言っておかないといけない命令を口にし、椅子へと戻っていく。
どうやらもう話したいことは全て話し終わったらしい。
きっとこの犯人の話しを聞きたいというのは建前で、最初からこの話しを相手に聞かせたかったのだろう。
そんな大切な話しは先にこちらにしておいて欲しかった、という気持ちもあるけれど、それを主人に対して口にすることはない。

「かしこまりました」

田中は主人の命令に一礼し、犯人に再び手拭を口に回す。
開放されると理解している今、暴れる可能性は極めて低いが一応というものだ。
そして来たときと同じように犯人を抱え、足を踏み出すと。

「地下に置いたらすぐに戻っておいで。安心させてあげるから」

そんな言葉が耳を擽り、田中は一瞬だけ目を閉じながら「はい」と返事を返す。
そして足音を立てないで執務室を後にした。

「あれれ、結構怒ってるかな」

出て行く田中の背中を見送った後、ヴィンセントは苦笑しながら呟く。
田中は使用人として優秀で執事の鏡と言ってもいいくらいの人間だ。それは使用人としての行動だけではなく、主人を思いやる心も含まれている。
けれどそのおかげでヴィンセントはいつも田中を怒らせることが多いのだ。
危ないことをしているつもりはないのに。

「僕だってたまには息抜きが必要だよねぇ?」

クルリと椅子を回して、窓の向こうからこちらを見下ろしている闇の穴を光の穴は笑いながら見つめ。
“汚れてしまった”黒い手袋を無造作に脱ぎ捨てた。


****



「ではご説明頂けますかな」

執務室に戻ってきた田中は笑顔でその言葉を放つが、それは威圧感を飛ばす以外のなにものでもなかった。
それを見たヴィンセントは苦笑しながら怖いよ、と言うが田中は微笑んだまま此方の言葉を待つだけ。
やはり相当怒っているらしい。

「・・・僕がやろうとしているのは、ちょっとした遊びだよ」

ヴィンセントはため息をつく。

「自分たちの背後に女王陛下がいると知った彼は、きっと裏社会の誰かにその情報を洩らしてしまうと思うんだ。人間というのはそういう大きくて面白い秘密なんてものを一人で抱えていくことなんて出来ないからさ。そして裏社会にまるで少しでも風が吹いたら消えてしまうかのような小さな灯火と言う名の噂が生まれる。女王陛下が裏社会に手を出している、と」
それがいい意味か悪い意味かは、噂を聞いた人によって違うと思うよ。

そう言った言葉に田中はピクリと反応し、顔に笑みを張り付かせたまま返す。

「旦那様、先ほども言いましたが・・・それでは旦那さ」
「だからそうならないようにするって言っただろう?」

全てを言い切る前にヴィンセントは言葉を挟み、田中の言葉を止めさせる。
少し黙るように、と訴える瞳は鋭く光っており、精神が弱い人ならばこの瞳で死んでしまうんじゃないかという“痛み”を持っている。
田中はそれに内心汗をかき、訴えられるがまま口を閉じた。

「女王にただ排除されるような行動を僕がすると思うかい?」

口を閉じた田中を満足そうに笑いながら机に頬杖をつく。
その手には新たな黒い手袋が嵌められていた。

「ちょっとばかし小さな噂が広まったら全て踏み潰すよ。大きな噂になってしまう前にね。彼にも言っていただろう?僕は今の女王陛下のように異質なことはしない。僕は僕がやるべきことをするだけだって」

ヴィンセント・ファントムハイヴのするべきこと。
それは女王の憂いを払うこと。
そして女王に仇なすものを無きものにすること。

「女王陛下が“こんなこと”をしているなんて知れたら裏社会の住人が黙っているわけがないだろう?だから僕は踏み潰すことが仕事だ」

まさに、蟻が巣から出てくるところを足で踏み潰すかのように。
ぶちり、ぶちりと。
子供のように。
無邪気さを装って。

「僕はそれを女王陛下に報告するよ。こういう噂が流れておりましたので、貴方様の憂いになる前に全て無きものにしましたって。きっとあの女王陛下のことだ。僕がその噂を流したって分かるだろうねぇ、でもそれが確実なものになってしまう前に責任を持って無きものにしたのだから文句は言えないだろう?」
むしろ女王の番犬として忠実すぎるくらい忠実だよ。

ヴィンセントは笑う。
やはり酷く愉しそうに。

傍から見たらそれ可笑しな絵だろう。
子供が蟻を笑顔で潰している絵ならば残酷だけれど許されるものがる。
しかし大人になったものが蟻を笑顔で潰している絵はどうだ。

無邪気さを装って。
子供のように。
ぶちり、ぶちりと。
まさに、蟻が巣から出てくるところを足で踏み潰していく。

それはやはり異質だ。異常だ。それが普通であってはいけない。

冷静というよりも沈静 / それは感情が動いていない証拠
穏やかというよりも狂っている / それは理性を分かっていない証拠
笑っているというよりも嘲けている / それは愉しんでいる証拠

光の中に穴が開いてしまったような・・・そこにあるのが間違えなような。
そんな彼。

否。

彼こそが、
見えない世界そのものだ。



その世界を見た田中は。

「それを聞いて安心しました」


微笑んだ。


「だから平気だって言ったじゃないか」
「旦那様はときに綱渡りを楽しむクセがありますので、穴がないか突いておかねばなりません」
「相変わらず手厳しいな、田中は」

ヴィンセントも微笑み、世界はより異質さを増す。
けれどこの異質がここでは普通なのだろう。
なぜならここは。

「さて、と」

ファントムハイヴ家なのだから。

「ゲームの時間だ」



噛んら壊れる世界なんて、
無価値だよ


******

「6ペンス」の鶫さま、開設二周年おめでとうございますッ!!
無理やり押し付けをお優しい心で受け取ってくださって、ありがとうございました。
『田中さんとヴィンセントパパの物語』という素敵なリクエストを頂き、悪の貴族を目指して書かせていただいたのですが。
すんごく悪ですね(苦笑)しかも田中さんまで仲間だというね(@▼@)
勝手に「GameⅣ」と繋がりを持たせてしまったのに、こちらも許してくださってありがとうございました。
悪の貴族、書いていてとても楽しかったです!!

本当に二周年おめでとうございます^^
これからも応援しております(≧▼≦)/

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【2011/05/18 16:53 】 | Gift | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
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