Little Silent Secret
PCサイト「Silent Secret」の携帯用サイトです。
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2025.06
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HN:
月猫
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SilentSicret(PC)
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非公開
趣味:
妄想←
自己紹介:
のんびり気ままでマイペース。
どうしようもない腐女子です。
こんな仔ですが、是非仲良く
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【2025/05/10 20:06 】
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鶫さまより
◇初めてのお家訪問(Silent Secret 月猫様へ!)◇
一日が終わる毎に日を数え、眠れない夜を重ねる程に、
私はこの日を心待ちにしていました。
「おおおお邪魔します」
「どうぞ…あの、ちょっと散らかってるけど」
そう言ってシエルさんは、私の動揺も気にせぬ様子で部屋へと招き入れてくれました。
――しかしこれは、ちょっと、じゃありません。
ちょっとどころじゃなく汚いです、部屋が。
社交辞令でなく、実際ここまで部屋が汚い人を私は初めて見ました。
「えっと、お茶が…あれ? どこにやったかなあ……」
今日私は約束通り、ティラミス片手に初めてシエルさんの自宅を訪れました。
しかしこれは、どうしたことでしょう。
塔のようにうず高く積み上げられた専門書に、
脱ぎ捨てられた服。
私たちは散乱するものをよけ、出来た空間に何とか腰を下ろしました。
――まるで天使のようなシエルさんの部屋がここまで汚いなど、
一体誰が予想出来たでしょうか!
勿論あばたもえくぼとはよく言ったもので、
驚きはしても、この程度で私の彼への愛が冷めることはあり得ません。
それでも自他共に認める、綺麗好きな私。
どうにもこの部屋は落ち着きません。
「あ、あった! こんなところにあったなんて、…」
――本音を言えば手の届く範囲にシエルさんの靴下等を見つけ、
思わずポケットにインしてしまいそうになるから、という理由もありますが。
むしろほぼ、それかもしれませんが。
とりあえず、
「…シエルさん、お片付けしましょう!!」
「え……」
こんな部屋が、彼にとって良い筈がありません。
あまりにも、不健康過ぎます。
「で、でもどうせすぐ汚れるし」
「んもう、駄々っ子みたいなことを言うんじゃありません!」
私もお手伝いしますから、一緒に頑張りましょう?
――はっ。
初めてのお家訪問に舞い上がりすぎて、思わず本音と建前が逆に。
シエルさんは私の顔を見つめ、ぽかんとしています。
――これは、まずいです。
随分親しくなったと言っても、流石にこれは。これは。
「……ぷ、く」
冷や汗をかいているところに聞こえた、シエルさんの声。
「っ、あはは! ミカエリスさん、お母様みたい」
見ればシエルさんは、身体をぷるぷると震わせて笑っていました。
目じりには涙まで浮かべて、何というか。
色々と、目に毒です。
シエルさんは上品な微笑を浮かべてくれることはあれども、こんな風に身体を揺らして笑って見せてくれるのは、初めてでした。
ですから、ほっと胸を撫で下ろしたのは一瞬のこと。
その姿は新たな魅力に溢れていて、私は一人跳ね上がる心臓を抑えるのに必死でした。
「ごめんなさい。ちゃんと、片付けます」
そう言ってまた、にこ、と微笑むシエルさん。
“お母様”と言われてしまったことが気にならないでもありませんが、彼のこんな笑顔が見られたのですから。
もう、お母様でもなんでも良い気がしてきました。
◇
私も手伝うと、部屋はあっという間に片付いてしまいました。
それでも窓の外は既に日が傾きかけて、茜色。
夕日が溶け出したように、白い壁、そして彼の柔らかな頬もまた染まっていました。
「すごい…ミカエリスさんって、何でも出来るんですね……」
結局私が紅茶を淹れ、その間にシエルさんが冷やしていたティラミスを持ってきてくれます。
「丁度冷えて食べごろですね」
「すごい、美味しそう……!」
「お口に合うか、分かりませんが」
箱の中には、ティラミスが3つ。
シエルさんはほんのりと頬を染めると、いそいそと私にもフォークを手渡しました。
――小さな口を開けて、ぱくり、ティラミスに食いつく。
ちらと見える、小ぶりな前歯が愛らしい。
小さな口をもくもくと動かして、もう一口。また一口と、咀嚼します。
「美味しい……」
感極まったように小さく呟いて、面を上げた彼の瞳は心なしか潤んでいるように見えました。
「シエルさん」
「あ、――すみません。本当に美味しかったから、お屋敷にいた頃に大好きだったティラミスを思い出して、つい」
そう言って一瞬見せる、寂しげな表情。
いよいよ日が沈むのか、黄金色に輝く横顔。
――彼を見ていれば、彼の出自が良いということはすぐに分かりました。
以前に訳あって、独り暮らしをしているということも教えてくれました。
ティラミスをつつきながら、シエルさんがぽつり、ぽつりと話をします。
「あの頃はまだ両親もいて、使用人たちも沢山いて。掃除も、身の回りのことは家女中が全部やってくれたんです。だからいざ一人暮らしをしても、どうしたらいいかよく分からなくて……」
ミカエリスさんの為に片付けようとも思ったけれど、やっぱり、出来なくて。
「なんて、言い訳ですよね。僕、いつもミカエリスさんに頼ってばかりだし。幻滅しましたか?」
そう言うシエルさんの瞳はまるで捨てられまいとする仔犬のように悲しく、切なく見えました。
確かに彼は、生活力がありません。
というか、皆無です。
でもそんな彼が今まで一人懸命に生きてきたのだと思うと私は、たまらない気持ちになりました。
シエルさんのフォークを握る手に、そっと触れます。
拒絶されていないことを確認し、その小さなこぶしを包みました。
「ミカエリス、さ」
「――私がいます」
嗚呼、私は、一体何を言っているのでしょう。
「ティラミスでもミルフィーユでもレモンメレンゲパイでも、何でも作りますから。掃除だって、何だって、――ご両親の代わりにはなれなくても、私が」
夢中でそこまで言って小さな手から視線を上げれば、
シエルさんは、呆けたように口許を緩め赤面していました。
耳も、首も、色白の彼がここまでと思われる程に。
先程の夕日を映したように、真っ赤。
それを見ていると私も、じわじわと熱が上がってきました。
「――す、すみません……」
そろそろ、と情けなく後退する私の手。
その後は二人とも無言で、黙々とティラミスを口に運んだのでした。
***
『Silent Secret』の月猫様へ、相互リンクして頂いた御礼として捧げます。
大変お待たせしてしまい、申し訳ありません!
コンビニ店員セバスチャンの続編を、ということで、
本編終了直後の設定で書かせて頂きました。
月猫様、ありがとうございましたv
20111007
鶫
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【2011/10/26 18:36 】
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