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【2017/05/23 02:22 】 |
Sweetは逃走中
Sweetシリーズ



いつもはめったに来ない裏庭にシエルは一人座り込んでいた。
ここにはよく猫が来るらしくセバスチャンが喜んでいるのだが、今日はこの僕がいるせいか
一匹も姿を見かけない。
まぁ、アレルギー持ちの僕には都合がいい。

普段なら、こんなところに寄り付きもしないが・・・。
いや、普段寄り付きもしないから今ここにいるのか。

「坊ちゃん、見つけましたよ」

この馬鹿から逃げるために。


― Sweetは逃走中 -


「チッ」

シエルは後ろから聞こえてきた声に舌打ちをする。
時計を持っていないので正確な時間は分からないが、部屋から出てきて3分も経っていないだろう。
ということは、この膨大な敷地の中から3分も掛からずに僕を見つけたのか。
名前を呼ばずとも契約印がある限り、こんな早く見つけられてしまうんだな。

「当主がこのような所にいらしてはいけませんよ」

セバスチャンは呆れたように声を掛けてくる。

「あぁ、そうだな」

シエルは雑に返事を返しながら立ち上がり、ズボンに付いた砂埃を払う。
決して、だからここに来たんだ…とは口にしない。

「最近、私を避けていませんか?」

セバスチャンはシエルの元に来ることもなく、そのまま後ろから言う。
その口調はとても穏やかだが、少し何かの含みがある。
シエルは払っていた手をピタリと止め、セバスチャンの質問に、やはりきたか、と顔をしかめる。
あのセバスチャンだ。気が付かないはずもないし、聞いてこないはずもない。
シエルは聞いてくることを予想していたが、いざ聞かれるとなると心臓に悪い。

「たまには一人になりたい時だってある」
「たまにはって、いつもほとんど一人ではないですか」
「それは仕事をしている時や眠っている時だろう。他の時には、お前や講師の先生がいる」
『一人の時間』が欲しいんだ。

シエルは振り返ることなく、もともと考えていた答えをセバスチャンに返す。
この言い分ならば、何かを突っ込まれることはないだろう。
おかしいところは何もない筈だ。

「そうでございましたか。主人のそのようなお気持ちに気が付かず、申し訳ございません」

コツリ、と一歩進む音が聞こえる。
あぁ、どうしてコイツの足音はいつも大きく感じられるんだろう。
シエルは無意識に体を固くする。

「ですが坊ちゃん」
「何だ」
「では、なぜこのような場所にいらっしゃるのです?」
「だから、今説明しただろう。一人に・・・」
「では、命令してくださればいいじゃないですか」

セバスチャンはシエルの言葉を遮って言う。

「命令?」
「えぇ。『一人の時間が欲しいから、部屋に入って来るな』と」
「・・・」

その言葉にシエルは、それもそうだ、と妙に納得してしまう。
セバスチャンから逃げようという気持ちばかりが前面に出てしまっていて、
自らそう命令すればいいということを全く思いつかなかった。
シエルは内心、冷や汗を掻く。

「それを命令もせずに、このような場所へとやって来るなんて」
何か理由があるとしか思えませんが?

セバスチャンはまた足音を1つ立て、クスリと笑う。
ゆっくりと迫ってくるそれは、まるで獲物を追い詰めているかのようだ。
本当にコイツはタチが悪い。

「最近、私の顔を見てもすぐに目線を逸らしてしまいますし、ご希望されるスイーツも時間の掛かるものばかり。私との接触を極端に避けていらっしゃいますよね」

先ほどとは違い、今度は確信を持って言う。

「そして何も言わずに、このような場所に来られるなんて・・・」
ねぇ、坊ちゃん。

コツリとまた1つ。



「私から、逃げているでしょう?」



耳元で囁かれる声。

「~~~!!」

シエルは囁かれた方の耳を押さえながら振り返ると、すぐ後ろにセバスチャンが。
コイツ、最後の一歩を大またで来たのか?!
反射的に後退りしようとしたが、それを踏みとどまる。
ここで退いたら、逃げていることを肯定しているようなものだ。
まぁ、逃げている真実は正しいのだが・・・。
シエルはにこやかに微笑む執事を睨みつける。

「自意識過剰にもほどがあるな」
「おや、そうですか?」
「僕がなぜお前から逃げなければいけない」
「私が貴方を好きだからです」
「っな?!」

シエルは顔を真っ赤にして目を剥く。
そんな様子を微塵も気にせず、その逆もしかりですねぇ、と呑気にセバスチャンは言う。

「私にどう接したらいいのか、戸惑っているのでしょう?」
可愛い方ですね。

赤く染まった頬に、ちゅっと優しくキスを落とす。

「べ、別にそんなんじゃっ!」

シエルはキスされた方の頬を押さえながら怒鳴る。

「僕はただ、ただっ!」
「ただ、何です?」

セバスチャンは、シエルの頬を両手で優しく包み込む。
キスされた頬を押さえているシエルの手ごと。
一見優しく感じられる『それ』だが、顔を逸らすことも出来ず、捕らえられた状態になっただけである。
流石は悪魔。優しさに見えるものには、必ず裏がある。
シエルにとって一番困る、甘い甘い束縛が。

「ただ・・・」

シエルは言いよどむ。

セバスチャンの言っていることは、全て正しいのだ。
的確にシエルの心中を読み取っている。
しかしそれに頷くほど、シエルは素直ではない。
いつも言われるよう、こういう時くらい素直になれたらどんなに楽だろうか。
けれどプライドがそれを拒んでしまう。

この鼓動の早さも。
この小さく震えてしまう体も。
この赤くなってしまう頬も。
押さえることが出来ないというのに。

「全部、お前のせいだ」
「坊ちゃん?」

小さく、声を必死に搾り出す。

頬を掴まれているので、俯くことは出来ない。
だからあえて瞳を見つめる。
赤い赤い、悪魔の瞳を。

「どうしてこの僕が、こんなに振り回されなくちゃいけないんだ」

シエルは言う。

「どうしてお前ごときに、動揺しなくちゃいけない」
「・・・坊ちゃん」
「お前なんか」

大嫌いだ。

その言葉は音にならずに、セバスチャンの唇の中へと消えていく。
熱い唇がシエルの唇を塞いでしまったからだ。

急な出来事にシエルはついていけず、呆然とセバスチャンの唇を受け止める。
けれど口内に何かが侵入してきて我に返り、片方の手でセバスチャンの服を力強く握る。
そのまま押し返そうと思ったのだが、力が抜けてしまって、どうも押し返すことが出来ない。
それどころか逆に縋っているような状態になってしまう。

「ン、ん」

セバスチャンのそれが、ゆっくりと口腔を辿っていく。
その最中シエルの舌にそれが触れ、ビクリと肩が跳ねる。
すると素早く絡め捕られ、痛いくらい強く吸い上げられ・・・。
そこで唇が開放される。

「ふぁ・・・」

離れた瞬間、妙な声が出てしまいシエルは咄嗟に口を塞ぐ。
キスに酔わされた頭では、文句を言うなど思いつかない。
この間もキスされたが、こんなに甘く感じることはなかった。

「坊ちゃん」

セバスチャンがギュッとシエルを抱きしめる。

「それ以上、そんな可愛らしいことを言わないでください」
理性が持ちません。

少し苦しげに掠れた声音。
その声に心臓が跳ね上がる。

「何が理性だ、このエロ悪魔」

抱かれている状態のままシエルは、やはり素直にはなれずに返す。
しかし、この鼓動の早さは知られてしまっているのだろう。
相手の鼓動の早さを知ってしまっているように。

「坊ちゃんはまるでデスサイズですね」
殺されてしまいそうです。

より強く抱きしめながらセバスチャンは言う。
その言葉にシエルは苦笑して。

「馬鹿か」

そっと胸に頬を摺り寄せる。




僕の方が、いつだってお前に殺されそうだ。





END

 

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【2011/03/24 17:36 】 | Series | 有り難いご意見(0) | トラックバック(0)
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