明日に全てが終わる。
それを理解しつつも、理解していない自分がここにいる。
自分の気持ちに気が付いた彼は、全身から己のことを欲していて。
同時になぜこんなゲームをしているのかという疑問も抱いている。
それはそうだろう。
お互いに同じ気持ちを抱いているのに、なぜこんな舞台に上がっていなければいけないのだ。
けれどこれ以上踏み込まない、否、踏み込めない。
いや、そうじゃない。
理解しつつも、理解していないように。
踏み込めないと言いつつも、理性の利かない部分が踏み込んでいる。
「酷いのは私ですね」
だって今から。
「貴方を抱きます」
ほら、踏み込んでしまっている。
貴方を自分のものにしようとしている。
にもかかわらず。
「1つ、いいか」
「なんですか?」
「どうしてこれから僕を抱くんだ」
「それは…」
“ずるい”
(恐い)
「“恋人同士”だからです」
彼の瞳から光が消えた。
「あぁ…そうか」
彼は頷く。
それなら仕方がないな、と。
まったく、本当に。
「反吐が出る罰ゲームだ」
(えぇ…本当に)
(自分には反吐が出ますよ)
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