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【2025/05/10 21:16 】 |
スティールメイト(子供)
子供の貴方。
スティールメイト(リクエスト)




相手の身体を自分のものにするのは簡単。
何度も何度も重ねて重ねて、指一本の触れ合いでさえ痛いほどに感じるようにさせて。
もう自分無しでは生きていけない身体にすることだって可能なのだ。

けれど、その心を自分のものにすることはとても難しい。
特に彼の心に到達するためにはダイヤモンドよりも固い壁をなんとか壊さなくてはならないのだから。
身体を手に入れたとしても、心を手に入れてなければ、彼を手に入れたということにはならない。
たとえ身体は自分を欲していても、心がそれを押さえつけてしまえばそれまでなのだ。


「もう気持ち悪いところはありませんか」

ベッドのシーツを変え、温かいタオルで身体を全て拭いてやりながら声を掛ける。
自分なりに悪魔が持ちうる最大限の“優しい声”で聞いてやったにも関わらず、彼は顔を歪ませたまま「全部」と答えた。

「貴様が触れたところ、全部が気持ち悪い」
「おや、あの時はあんなにも気持ち良さそうに声を上げていたじゃないですか」
「あの時はあの時だろう」

快楽が終わった後は気持ち悪さと地上に戻ったときの身体の重さを実感するだけだ。
言いながらシエルはセバスチャンの手を叩き落とし、もういい、と代わりにナイティを指さして着せるように命じた。

「・・・かしこまりました」

ベッドから降りた自分は今はあくまで執事。
その命令に文句を言うこともできず、彼の言葉通りにナイティを着せていく。

(快楽が終わった後、ですか)
どうやら彼自身、身体を重ねているときに快楽を得ているということは否定していないらしい。
頑なな彼のことだ。その快楽すらも認めていないと思っていたのだが。

「なんだ」
「どうされました?」
「何を考えている?」

こちらが何か考えていることを察したのだろう。
シエルはナイティを着せるセバスチャンを見下ろすように睨みつけ、聞いてくる。
流石は裏社会で生きることの出来る子供だ、と半分関心、そしてもう半分は、自ら地雷の埋まる地面に足を下ろす愚かさにセバスチャンは口角を吊り上げた。

「何を考えているか不安ですか?」
「・・・どうしてそこに不安という単語が出てくるんだ」
「こちらのことを気にするということは、何か思うことがあるのかと思いまして」

―――いえ、私に考えて欲しくないことでもあるのかと思いまして。
そういい直して挑発してやれば、シエルはフンと鼻を鳴らして、同じように口角を吊り上げた。

「貴様が何を考えていようが関係ない」
「ではなぜ気になされたのですか?」
「躾けの一環だろう」

彼は言う。

「たとえ身体を重ねていたとしても僕達の関係は主人と執事、契約者と悪魔。ならば貴様は出すぎた真似をしてはいけない。なのにどうだ、貴様は僕の前で何かを思案している姿を見せ、それどころか僕の質問に対して質問を返してきた」
美学はどこに言ったんだ、この駄犬。

シエルはそう鼻で笑い、そして着終わったナイティの袖を揺らしながら己の手で契約印が刻まれた方の瞳を片手で隠しながら、微笑む。
その姿は先ほどまで淫らに啼いていた人物と同じだと思えないもので・・・―――

「勘違いするなよ、セバスチャン」

僕だけが心を渡していないわけじゃない。
貴様だって僕に何も言っていないだろう?
―――お前の気持ちを僕に伝えていないだろう?


「僕たちは恋人同士じゃない」


そう言った彼の言葉に、
セバスチャンは小さく舌打ちをした。


ダイヤモンドよりも固い壁があるのは、
なにも彼だけではないのだ。





スティールメイト



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【2011/12/04 19:30 】 | Project | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
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