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【2017/10/23 00:31 】 |
S×Sパニック
【相手の香り】
Sweetセバス×Sweetシエル



あたまがいたい
ひどくもどかしい
むねがしめつけられる

とてもふれたくて
とてもふれてほしくて

あいしているから
どうしたらいいかわからないから

あいしてほしい




「・・・・」

静かな空間の背景にガタゴトと馬車の揺れる音がする。
自分の大嫌いな夜会を終え、今は屋敷に帰る途中。
けれどシエルは身体から力を抜くことが出来ず、座りながら両手を握り締めている状態だった。

「・・・・」

斜め前に座るセバスチャンをチラリと盗み見れば、その視線に気が付いたようでセバスチャンの方から視線が返って来た。この早さだと、どうやら前々からシエルの様子を気にしていたようだ。
そのことが嬉しくもあり、しかしどこか複雑な気持ちになってしまう。
シエルは返って来た視線から逃げるように目線を逸らした。

「・・・坊ちゃん?」
「いや、その・・・」

名前を呼ばれたことに、なぜかドキンと心臓が跳ねた。
ただ名前を呼ばれただけだ。けれど今はそれすらも妙な刺激に感じてしまう。
こんな自分をセバスチャンはどう思うだろうか。
目線が定まらずあちらこちらに彷徨わせていると、セバスチャンが心配するように腰を浮かし、こちらの方を覗き込んで来た。

「どうしましたか、坊ちゃん」
「・・・いや、大したことじゃないんだが」
「具合でも悪いですか?」

シエルは首を横に振る。
覗き込まれた顔から逃げるように馬車の背もたれに身体を押し付け、自分を惑わす元凶となっているセバスチャンのコートを自分の胸の辺りで握り締めた。

そう。
今セバスチャンのコートは自分が着ているのだ。
夜会が終わり、帰る時に寒くないようにと着せてくれたのだ。
それは例え主人と執事としての間で行われたやり取りだとしても、その心遣いが身に染みて嬉しかった。
コートを着させてもらう時までは。

「坊ちゃん?」
「・・・ッ」

あぁ・・・セバスチャン。もう駄目だ。

シエルはコートから手を離し、代わりにセバスチャンの燕尾服を掴む。
いきなりの出来事に相手は驚いた声で再び名前を呼ぶが、シエルは離さない。

「セバスチャン、セバスチャンッ」

もう限界だ。
こんなの・・・一体どういう拷問だ。
まさかコートを着ただけで、こんなことになるなんて誰が想像しただろうか。

愛する人の香りが、こんなにも自分を蝕むなんて。

香りはこんなにも自分を包み込んでいるのに、その愛しい人は自分に触れていない。
抱きしめられている時と同じ香りなのに、その手は自分の遠くにある。
それが酷くもどかしい。

触れて。
触れて。
ふれて。

抱きしめて。
抱きしめて。
だきしめて。


お前が欲しくて、たまらない。


「セバスチャン・・・」

シエルは腰を浮かせて、倒れ込むようにそのままセバスチャンの胸へと身体を埋めた。
勿論、燕尾服を離すことはしない。
シエルを抱きとめたセバスチャンはしばらくの間固まっていたが何かを理解したのか、そっと頭を撫で始め耳元で囁く。

「あぁ・・・可愛らしいですね」
「可愛くなんか・・・ない」

少し膨れた顔をすると、可愛いですよと顔を上げさせ頬に口付ける。
少し濡れた音がしたのは絶対にわざとだろう。

「香りに酔いましたか」
「・・・ワザとか?」
「いいえ、先ほど気が付きました」
坊ちゃんに抱きしめられた筈なのに、香りが薄かったので。

どうやらセバスチャンのコートを着たことによって、代わりにシエルの香りが薄れたらしい。
そこでシエルの心境に気が付ける辺りが悪魔らしいと思う。
しかし今それは救いとなるものだろう。
もし気が付いてもらえなければ、シエルの口から説明をしなければならなくなるのだから。
恥ずかしがり屋のシエルにとって、それは酷く難問だ。

「私に抱きしめられているようで落ち着きませんでした?」
「うるさい・・・」
「早く仰ってくだされば良かったのに」
「こんなこと、素直に言えるか」
「・・・普段は無意識にもっと恥ずかしいことを仰っているのですがね」

ボソリと言われた言葉に、どういうことだと口を開くがすぐさま唇が重なり、言葉はそのまま吸い込まれてしまった。

「ん・・・ふ・・・」

どこまでも甘い口付けに、シエルはだんだん力が抜けてくる。
燕尾服を掴んでいる手が細かく震えていることは自分でも気が付いている。

「セバスチャぁ、ン」

口付けの合間に名前を呼べば、その声も酷く甘くて嫌になってしまう。
仮にも自分は裏の秩序と恐れられている存在なのに。
けれどセバスチャンは嬉しそうに微笑み、口付けをより深くしてくる。
そんな表情が見れたのなら、こんな甘い声を出してもいいかと思えてしまう自分も嫌いだ。

「ん・・・んン」

もっともっと、とねだるように口を開き、自分からセバスチャンの唇に舌を触れさせる。
そうすれば相手は驚いたように身体をピクリと震わせたが、すぐにその舌を絡めとり混ぜ合わせた。
自分の願いが満たされ、満足げに首に巻きつけば、セバスチャンの手も背中に回される。

さっきまでは無かった温もり。
やっと手に入った。
セバスチャンの香りに包まれてから、ずっとずっと欲しかった。

「ん・・・シエル」
「ふぁ」

ちゅ・・・と音を立てながら離れた唇と唇の間には、銀の糸が結ばれた。
それを指で断ち切れば、その指を掴まれ、今度はそこに口付けを落とされる。
濡れた感触にゾクリと背中が粟立ち反射的に手を引くが腰まで抱き寄せられ、逃げるどころか、より身体が密着した状態になった。

「いいでしょう?」
「よく、ない」
「どうして?」
坊ちゃんも欲しいでしょう?

カリっと指先を噛まれ小さく声を上げればセバスチャンの瞳は赤く輝いた。
欲情に濡れた瞳。そんな瞳で見つめられたら拒めるわけがないが、今は拒まなければ駄目なのだ。
どんなに自分も欲しいと思っても。

「だって・・・馬車の中、だろ」
「誰も見ていませんよ」
「御者がいる」
「バレません」
「でも・・・」
「誘ったのは坊ちゃんですよ」
ここでお預けはなしです。

そう言うと、着せてくれた筈のコートのボタンが1つ1つ手早く外されていってしまう。
誘ったのは自分かもしれないが、ここでではあまりにもだろう。
シエルは弱々しくセバスチャンの手を掴み、頬を赤くしながら駄目だと言えば、相手は諌めるようなため息を吐いた。

「待てません」
「待て」
「だから・・・」
「さ、誘ったのは僕だ」
だから。
「僕も、我慢するんだから・・・お前も待て」
「ッ!!」

セバスチャンは唇を噛み、何かを耐えるようにボタンから手を離す。
怒ったのだろうかと不安になりながら顔を見れば、セバスチャンはまるで赤くなった頬を隠すように手で顔を覆ってしまった。

「セバスチャン?」
「・・・だから・・・そちらの言葉の方が恥ずかしい言葉でしょう・・・」
「え?」
「分かりました。今は我慢します」
ですが帰ったら分かっていますね。

息を吐きながら言われた言葉にシエルは頷く。

「でも・・・」
「ん?」
「口付けだけなら・・・いいだろう?」

再び燕尾服の端を握り締め、視線を泳がせながら言うと。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いえ・・・だめ、です」
「え、だってそれはバレる心配ないだろう」
「・・・・・・坊ちゃん、この世には真実だけを並べて解決する問題ばかりではないのですよ?」
「・・・?あたり前だろう」
「でしたらどうして駄目なのか察してください」
「・・・・・・怒ったのか?」
「どうしてそうなるんですかっ!」

涙目で叫ぶ恋人を見つめながら首を傾げれば、後でたっぷりお教え致します、と言い、いじけたようにそっぽを向いてしまった。
一体なんなんだ・・・・。
相手の言いたいことを理解できず、シエルもいじけたように相手とは逆の方を向けば。

「・・・!」

暖かい感触が手を包み込み、驚いたように振り返る。
しかしセバスチャンは何も知らないような顔でこちらを見ようとしないので、シエルは苦笑し、自分も反対に顔を背け頭だけコツンとセバスチャンの肩に預けた。

屋敷に着くまで、あと少し。



(いつまでも あまさが じぶんを つつむから)
あたまがいたい
(すぐに てが とどくのに ふれられ なくて)
ひどくもどかしい
(じぶんで だめだと いった くせに)
むねがしめつけられる

(ばしょ なんて かんけい なく)
とてもふれたくて
(ひとめ なんて かんけい なく)
とてもふれてほしくて

(だれより も)
あいしているから
(じぶんを みうしないそうな くらい)
どうしたらいいかわからないから

(はやく)
あいしてほしい



end

 

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【2011/03/26 07:01 】 | Project | 有り難いご意見(0) | トラックバック(0)
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