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【2017/10/18 18:04 】 |
S×Sパニック
【躊躇い】
Sweetセバス×Swwetシエル



自分は悪の貴族だ。
裏の世界の秩序であり、女王の番犬という首輪を絞めている。

「坊ちゃん・・・」
「別に平気だ」

そう答えてから自分の失態に気が付いたが、今更無かったことには出来ない。
別に平気だなんて、今の自分の不安定さを露わにしてしまっているようなものだ。
咄嗟に言葉を口にしてしまったのは、この恋人の声が憂いを帯びていて、そしてどこか優しかったからだろう。
しかしそれに甘えることを良しとするシエルではない。

「・・・何も言うな」
「坊ちゃん」
「これは僕の仕事だ」

震える手を押さえつけるように、重たい鉛を握り締める。
セバスチャンが自分の邪魔をするようなことは絶対にしないだろう。
それは決して短くは無い付き合いの中で知っていることだ。
甘えを良しとしない、シエル自身のことを。

「そうですね」

どこか諦めるような声音に、なぜか心が緩んだような感じがした。
これは仕事なのだと相手も頷いたからだろうか。
いや、そんなことはどうでもいい。
自分の気持ちなんて二の次なのだ。
陛下のお心のままに、自分は動く。
そして復讐への一歩を進んで行く。
躊躇う暇など、どこにもない。

「・・・大丈夫ですよ」
「ッ・・・」

フワリと抱きしめられる感覚に唇を噛み締める。
抵抗しようにも、自分の身体が動かない。
動かせない。

「後ろにおります」
「セバス、チャン」
「傍におります」

まるで子供を慰めるかのように、優しく囁く。
これからこの手は赤く染まるというのに。
今自分が立っている裏の世界では、場違いの声。
どうしてこの悪魔は、こんなにも。

「最後まで、ずっと・・・お傍に」
「あぁ・・・」

セバスチャンの言葉に小さく頷く。
振り返ることはしない。
その顔を見ることはしない。
それでも、鉛を持っていない方の手で、自分に回されている腕の袖をそっと掴んだ。

本当は知っている。
この腕が自分を守ろうとしていることを。
僕の心を守ろうとしていることを。

セバスチャンが僕のことを分かっているように、
僕もセバスチャンのことを分かっている。
それでも。
立ち止まってしまうなんて、僕ではない。

たとえ僕が傷ついたことによってお前を傷つけたとしても
僕は決して立ち止まらない。

「セバスチャン」
「はい」
「僕は躊躇わない」

シエルは引き金を引いた。
パスンとどこか軽い音を立てて、その弾は鼠へと。
その瞬間、黒い手袋を嵌めた手で目隠しをされ、世界から引き剥がされる。
目の前に広がるのは赤ではなく、ただ深い漆黒の闇。

「・・・なにを」
「躊躇ってもいいじゃないですか」

闇に閉じ込められたまま、耳に声が響く。

「躊躇ってもいいんです。躊躇っても、貴方の答えはきっと変わりません」
「・・・・・」
「嘘はいくら仰っても構いません。ですが、自分を騙すことだけはやめてください」

躊躇ったっていいんです、とどこか懇願するようなセバスチャン。
その声はまるで泣いているようだ。

「泣いて、いるのか?」
「・・・えぇ、そうですね」
泣いているんです。

そっと目を隠す手が離れていき、また後ろから強く身体を抱きしめられる。
返って来た答えに、そうか、とだけ返し、鼠の亡骸へと視線を投げた。
そこには赤色が広がり、現実が転がっている。

「帰ったら、紅茶を淹れましょう」

その現実と、またどこか場違いな言葉を投げかけてくるセバスチャンにシエルは苦笑して。

「あぁ」

瞳から流れている雫が赤色に落ち、美しい波紋を描いた。
それは仮面を剥がした、もう1つの現実。


(How can you protect you?)



end

 

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【2011/03/26 07:20 】 | Project | 有り難いご意見(0) | トラックバック(0)
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