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【2024/03/29 21:14 】 |
S×Sパニック
【喧嘩】
Spiryセバス×Sweetシエル




「一体今回はどうしたんだろうなぁ」
「セバスチャンさんと坊ちゃんが喧嘩をなさるなんて、久しぶりですだよ」
「早く仲直り出来たらいいのにねぇ」
「ほっほっほ」

そんな話しをしていたのは午前の時。
使用人たちは自分の主と同じ使用人かつ自分たちの指導者を思いながらため息を付いた。


****


そして午後。


「坊ちゃん、お手紙が届きましただよ」
「あぁ、そこに置いておけ」

「フィニ、これを坊ちゃんの机の上に」
「はーい!」

「これ、おかしくねぇか?」
「ほっほっほ」


いつもはペンが走る音が満ちる執務室は、人と声が満ち、どこか騒がしいものへと化していた。
それもそうだろう。
今この部屋にはこの屋敷にいる人間(+悪魔)が勢揃いしているのだから。

今日は朝からシエルとセバスチャンが喧嘩したのを使用人たちは知っていた。
なぜならシエルを起こしに行った後セバスチャンはシエルと共に食堂へは来ず、一人でやって来たかと思えば田中さんの名前を呼んだのだから。
いつも二人が喧嘩をすると、執事を勤めるのは田中さんへと変わる。
ある意味これは“喧嘩をしました”とあえて自分たちに告げているようなものだと苦笑してしまうのも仕方が無い。
しかし今は全て執事の仕事をしているのはセバスチャンだ。
田中さんが引き継ぎを出来ないことは全く持って有り得ないが、それでもセバスチャン自身に確認しなければいけないことは山ほどある。
なので、たとえ田中さんに執事役を任せたとしても、セバスチャンがシエルの元から離れるのは不可能なのだ。

だから、今こういう妙な状況が生まれてしまっている。


「バルド、書類を坊ちゃんに」
「・・・いい加減自分で渡せよ」
「坊ちゃんが嫌がりますから」
「・・・俺にはもうそんなふうには見えねぇがなぁ」

バルドはニッコリと微笑むセバスチャンを見ながら頭を掻く。
チラリと横目でシエルを見れば、どこか複雑そうに紙面を眺めているが、その顔は仕事中というよりもどこか悩ましげ・・・いや、どこかソワソワしているようにも見えた。

「もう仲直りしてもいいと思ってんじゃねぇか?」
「そうかもしれませんね」
「・・・まだお前さんが怒っているってか」
「いえ?そんなことはございませんよ」

そう答えるが、その顔はどこかうっすらと冷たい。
主人に対しての忠誠心は厚いが、こういう所はどこか子供染みていると思う。
しかしそれを口に出すというヘマはしない。
バルドはしばらくセバスチャンの表情を眺め、ため息をつくようにタバコの煙を天井に向けて吐き出した。

「怒っている・・・というわけでもなさそうだな」
「と、申しますと?」
「ほんの意趣返しってところか」
「おや・・・貴方にしては珍しく的確な答えですね」

少しだけ目を丸くして言ってくる相手にバルドは、うるせぇと返す。

「んで、一体どんなことをやらかしたんだよ」
「・・・そうですねぇ」

使用人が主人に意趣返しをするなんて可笑しいと思うが、なぜかこの執事だったらやりかねないと思うのはなぜだろう。
現にこのスーパーマンみたいな男は主人に対してソレをしている。
この冷静沈着な男がこうまでする理由とは一体何なのだろうか。
そういう単純な疑問を投げかけたバルドだったが。

「それは坊ちゃんと私だけの秘密です」
「はぁ?」

どこか謎めいた微笑みでセバスチャンは人差し指を自分の口の前で立てた。

「こんだけ俺らを巻き込んでおいて秘密ってありかよ」
「巻き込んでしまっていることは申し訳ないと思いますが、それとこれとは話しは別です」
「チッ。本当にテメぇはお堅い男だな」
「褒め言葉として受け取っておきますよ」

そう言いながらセバスチャンは一歩足を踏み出す。
その視線の先には唇を噛み締めながら書類を見るシエルの姿。
それを瞳に映した男は酷く楽しそうだった。

「おい、セバス」
「色々とご迷惑をお掛けしてしまってスミマセン。もう皆さん下がっても大丈夫ですよ」
「あ?」
「これから坊ちゃんと仲直りをしますので」
「・・・意趣返しはもういいのかよ」
「これ以上焦らしたら泣いてしまいますからね」

クスリと笑う声にバルドは苦笑する。

「坊ちゃんがそんなたまかよ」
「さぁ、どうでしょう」
「ま、俺たちの大切な主人をあんまり苛めんなよ」
「善処いたします」

何が善処するだっての。
バルドはどこか諌めるようにセバスチャンの背中に煙を吹きかけるが、セバスチャンも苦笑するだけで何も言わない。
きっとこちらの言いたいことも分かっているのだろう。
それならいいか、とまた苦笑してバルドは楽しそうにシエルの仕事の手伝いをしている他の三人を呼び寄せた。

「おら、俺たちは俺たちの仕事に戻るぞ」
「えぇー・・・折角坊ちゃんと一緒にお仕事できたのにー」
「楽しい時間はあっという間ですだ・・・」
「ほっほっほ」
「仕方ねぇだろ」

三人を慰めながら執務室の扉を開け、出て行くように促す。
自分も出て行く最後にチラリと後ろを見れば、真っ赤な顔をしたシエルと、意地悪な、しかしどこか甘やかに微笑むセバスチャンの顔。

(ったく。本当に仕方ねぇな)

今度セバスチャンに自分たち用のケーキでも作らせよう。
そんなことを思いながらバルドは静かに扉を閉めた。



end
 

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【2011/03/26 07:47 】 | Project | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
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