そういえば、あの時も坊ちゃんは逃げていましたよね。
え?あぁ、私が告白をした時ですよ。
好きですと告げた次の瞬間、万年筆が顔面に飛んできたかと思えば、ふざけるなと怒鳴っていました。
今から考えると告白直後にアレは酷いですよね、よく私あの時へこみませんでした・・・。
ちょ、仕方ないだろうって・・・仕方なくなどないですよ。普通告白されたら顔を赤らめるものです。
乙女じゃなくてもそうなるものでしょう、とくに自分も好きだった相手からの告白ですよ?
普通怒鳴るのではなく、喜ぶものです。って坊ちゃん?黙らないでくださいよ。
あの後逃げ出した坊ちゃんを追いかけた結果付き合うことになったのですから、もう両思いだったということでしょう?
別に今更照れなくても・・・そんな照れてないだなんて全力で否定しないでください。
こう色々と思い出してみれば、坊ちゃんはいつも私から逃げていますね。
一歩恋人として近づこうとすると威嚇して、踏み出せば逃げてしまう・・・。
もうこれは純粋というよりも小動物。奥手というよりも臆病ですね。
・・・怒りました?黙るのはやめましょうよ。いつも怒鳴る坊ちゃんが黙ると本当に怖いんですから。
お前がいつも喋りすぎる?それは仕方ないでしょう。
坊ちゃんが喋らない代わりに私が喋っているんです。あ、決して静かなのが嫌いというわけではないですよ。
ただ坊ちゃんとは沢山のことを話して伝えて理解していきたいんです。
恋人のことを知りたいと思うのは当たり前のことでしょう?
それに坊ちゃんはちょっとしたことで不安になってしまいますからね。
気持ち悪く笑うなって・・・私少し格好いいことを言ったと思ったのですが・・・坊ちゃんの手に掛かると気持ち悪いの一言で片付けられてしまうのですか・・・。いえ、いいですよ。泣いてません。
ちゃんと分かっていますよ、そういう言葉も照れ隠しだって。
私から逃げても、気持ちがちゃんとあることを知っています。
調子になど乗っていませんよ。だってそれが真実でしょう?
言葉にしなくとも、ちゃんと伝わっていますから安心してくださいね。
・・・そこで、うん、と頷くのは卑怯でしょう・・・。
あの告白の返事の時もそうでしたが、坊ちゃんの、うん、には、かなりの破壊力があるのですよ。
ワケの分からないことを言うな?そんなことありません、他の方に聞いてもそう言います。
あ、でも他の人には決して聞かせてはいけませんよ。私だけの言葉にしてください。
あぁ・・・初めて、うん、と頷いた時は告白の返事の時でしたね・・・。なんだか懐かしいです。
私が勢い余って私のことが好きなんですよね!と迫ったら、坊ちゃんは半ば反射のように、うん、と頷いたのですよね。
驚いたときに素が出てしまうというのは、きっとああいうことを言うのでしょう。
本当に可愛らしいですよね坊ちゃんは・・・って、そんな冷たく否定しなくてもいいじゃないですか。
まぁ、そういうところも可愛くて好きですよ坊ちゃん。
今も昔もこれからも、ずっとずっと坊ちゃんを愛しています。
・・・なんだか思い出話になってしまいましたね。すみません。
では、本題に戻りますが。
もう私たちも立派な恋人同士。身体を重ねても何の問題も無いでしょう?
だから恥ずかしがることも、逃げることもないのですよ。
さぁ、扉を開けて私の胸に飛び込「断る」
end

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