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【2017/07/25 05:51 】 |
07.想う
五萬打御礼企画



「なんか最近変じゃなぁい?」
「何がですか?」

仕事帰りの深夜。
たまたまファントムハイヴの屋敷が近かったため、赤い死神は黒い悪魔の元へと足を運んだ。
愛しい愛しい黒い悪魔は赤い死神を見た瞬間、顔面めがけて蹴りを放ったがソレにも負けず、現在悪魔の自室の窓枠に腰を掛けている状態だ。

「私も忙しい身だから、あんまり長くセバスちゃんを見ていることは出来ないんだけど、それにしも変よ」
「だから何がですか」

赤い死神のもったいぶったような台詞に黒い悪魔は眉を顰め怒りを露わにする。
主人の前だと笑顔を振りまく犬だというのに、この違いは何なのかと笑ってしまいそうだ。
まぁ笑ったとしても、この悪魔はそれが美学なんちゃらと言って逆に笑うのだろうけれど。

「セバスちゃんと、あのガキとの距離」
「・・・は?」

驚いた様子の黒い悪魔を見て、赤い死神は“にぃん”と口に弧を描く。
どうやらやっぱりこの黒い悪魔は気が付いていなかったらしい。
どんなことでも百戦錬磨なのだと思っていたのだけれど。
あまり見たことがないウブな黒い悪魔に、赤い死神は言葉を重ねる。

「前々から付かず離れずだったけれど、最近は離れているわよねぇ」
「そんなことありませんよ。私はいまでも執事として坊ちゃんのお傍におりますよ」
「違うわよぅ。距離だって言ったでしょう?セバスちゃんは気が付いていないかもしれないけれど、今のセバスちゃんとあのガキの距離が少し遠くなっているのよ」
「・・・え」

ピクリと頬を引きつらせた黒い悪魔。

「一体何があったのかしら?セバスちゃんに恋するアタシとしては、聞いておきたいんだ・け・ど」
「別に、何もありませんよ」
「つれないわねぇ」
「それに何かあったとしても、貴方に教える義理はありませんから」

まるで子供のようにプイと横を向いてしまう可愛らしい姿に、赤い死神は襲い掛かりたくなるも必死に我慢する。
今ここでそんなことをしてしまったら、きっと明日の仕事には出られないほど重症を負わされてしまうだろうから。
これ以上ウィルに怒られるのは勘弁だ。
それでも、今この愉しい状況を見逃すほどこの死神は“イイ仔”ではない。

「やだー、冷たいこと言わないでよ。別に全部話せって言ってるわけじゃないんだしさぁ?ちょっとくらいアタシに愚痴ってもいいんじゃないの?」
「愚痴ることなんてありませんよ」
「本当にぃ?ならどうしてあのガキから距離を取っているのかしら?」
「取っているつもりもありません」
「じゃぁ無意識ということになるわね。何かあのガキに対して思っていることでもあるの?」
「・・・・」

次から次へと言葉を投げかける赤い死神に、ついに黒い悪魔は口を噤む。
それは、主人に対して思うことがある、ということの肯定を意味する。
赤い死神は足を組み、親身な声でその先を促すよう声を掛けた。

「まぁそうよね。所詮人間と悪魔。思うことなんて沢山あるわよ」
「そう、なのですが」
「執事だからそれは許されないと思っているのしら?でもねぇセバスちゃん。私たちだって人間外だけれど感情はあるのよ?美学の為とはいえ、その感情までコントロールするのは身体に悪いわ」
「・・・・」
「今私しかいない前なら、執事の皮を捨ててもいいんじゃないの?」
「・・・どうしようもない、話しですよ」

黒い悪魔は諦めたようにハァとため息をつく。
それに赤い死神は内心でガッツポーズを何度もし、表面では何でも聞くわよと微笑んだ。
そして黒い悪魔から出た言葉は。

「何だか最近、坊ちゃんの顔を見るのが苦しくて・・・」
「あら」
「近くに寄ったら、なぜか抱きしめたくなるんです」
「・・・あら?」
「だからきっと無意識に距離を取っているのかもしれません」
「・・・・あらら?」

ちょっと待ちなさいよ、ちょっとちょっと。いや、落ち着いてグレル・サトクリフ。いえ、落ち着くのは貴方よセバスちゃん。待って待って、それって。
赤い死神は微笑みをキープしたまま、ダラダラと汗を掻いていく。
こちらの予想としては、人間に嫌気が差したとか、やはり理解が出来ないとか、そんな話しが出てくると思っていたのに。
これは・・・。

「セバスちゃん・・・貴方・・・」

あのガキに思っていることがあるんじゃなくて。
あのガキを想っちゃっているのね?


全く持って予想外の展開だった。



end
 

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【2011/05/06 19:40 】 | Project | 有り難いご意見(0) | トラックバック(0)
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