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【2017/05/23 02:26 】 |
世界が滅びるとき。
PCの拍手御礼画面




“もしも”の話しをしましょうか。
そう言った彼の瞳は酷く真剣だった…―――


「もし明日世界が滅びるなら、貴方は何をしますか?」
「別に何もしない」

シエルは読んでいた本を閉じながら言う。
彼の“もしも”の話しに付き合ってやろうと思ったのは、ただの気まぐれだ。
決して彼の瞳が真剣だったからではない。

「何もしない、とは?」
「いつものように日常を過ごすだけだ」
「復讐相手を必死に探すことは?」
「今だって必死に探しているのに見つからないということは、明日世界が滅びると分かって血眼で捜しても、どうせ見つからないだろう」
「諦めがいいですね」
「自分の命に執着していないだけだ」

淡々と話すシエルに、セバスチャンもあくまで淡々と返す。

「自分の命に執着をしていないわけは、最期は私にその魂を差し出す未来を知っているからですか?」
「…そうだな。きっとそうだろうな」

シエルはその最期を思いながら瞳を細める。
そこには恍惚とした何かがあって、きっとその時を思うと幸せなのだろう。
それはそうだ。
その最期が訪れたということは、ずっと探していた相手を見つけ、復讐を遂げたということなのだから。
セバスチャンはシエルが閉じた本を取り上げて、自分の近くにあった小さなテーブルに置いた。

「では質問を変えますが、貴方にとって世界が滅びるとはどういう時ですか?」
「…どういう意味だ?」
「人間は世界が滅びる、イコール自分の命も失うということを考えると思うのですが、貴方の場合はそうではない、と。では貴方の場合、世界が滅びるイコール何を置きますか、とお聞きしたのです」

シエルはセバスチャンの質問を噛み締めるかのように聞き、そうだな…と考え始める。
自分にとって世界が滅びるに値する出来事とはなんだろうか。
いや、考えなくても分かることか。
自分の望みはただ1つ。

「復讐をいつまでも遂げられないこと、だな」

そう答えるとセバスチャンの瞳が赤く輝き、口元が弧を描く。
きっと予想内の回答だったのだろう。
なんとも嫌味な悪魔だ。
何かコレに言う言葉を始めから用意していたに違いない。
でなければコイツが“もしも”の話しをし始めるわけがないのだ。

「それでは今も“世界が滅びている状態”だと」
「…そういうことにもなるな」
「でも坊ちゃん」

セバスチャンは言う。

「復讐をいつまでも遂げられないということに対して、もう1つのイコールが生まれるのですよ」
「…何が言いたい」
「その復讐に必要不可欠なのは何ですか?」
誰ですか、と聞いた方が分かりやすいですかね。

どこか愉しげに言うセバスチャンにシエルは瞳を細め、貴様か、と言えば相手はYesと答えた。

「復讐をいつまでも遂げられないイコール、いつまでも私との契約が果たせない」
「・・・・」
「イコールということは、その逆からも考えられるのですよ」

セバスチャンは一歩前に出て、シエルへと手を伸ばし、契約印を隠している眼帯を外す。
その動作をジッと睨みつけていれば、相手は顎を片手で掬い上げ、吐息が頬に当たるほど顔を近づけた。

「私との契約が果たせないイコール、世界が滅びる」
「…それは貴様も同じだろう」
僕の魂が喰らえないということなのだから。

相手を拒絶することもなく、そのまま近くなった赤い瞳を睨みつける。
余裕な表情を作っているつもりだが、果たして。

「いいえ?むしろ私はそれを望むという話しをしたいんです」
「なに?」

どういうことだと怪訝な顔をすれば、セバスチャンはクスリと笑う。
その笑みを見た瞬間、何かが逃げろと叫んだが、もう遅い。

「貴方の世界は一生滅んでいればいいんですよ」

私の手によって。

契約なんて果たさせない。
私の傍にずっと永遠においておく。
貴方はずっと私のもの。

「何が言いたいか分かりますか?」

頬を擽っていた吐息は唇へ。
そのまま唇を唇で塞がれた。



貴方が好きだと言っているんです。


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【2011/07/23 23:59 】 | Text | 有り難いご意見(0) | トラックバック(0)
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