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【2017/10/23 00:33 】 |
甘いもの禁止!
ハロウィンネタ期間限定




この世界には沢山の行事がある。
大きいものとしてはバレンタインデーだとか、ハロウィンだとか、クリスマスだとか。
なんと365日の一日一日にもなんらかの日であったりするのだから面倒なものだ。
―――と、ずっとずっと思っていた。
いや、面倒なのは今も変わらないだろう。どうして人間はこんな小さな行事を大切にするのかは分からない。
けれど行事があった方が面白いというのは、悪魔の自分でも思うようになった。
その理由はきっと恋人が出来たからだろう。

しかし彼にとってはそんな甘いもので終わるわけがない。
恋人が出来たからといって、その行事をただ両手離しに喜べるわけがないのだ。
それは今まさに目の前でそれを証明している。



― 甘いもの禁止! ―

「・・・・」

その己の恋人は今やっと終わった仕事に息を吐いて、椅子の背凭れに寄り掛かっている状態だ。
屍と化していると言っても過言ではないだろう。
ファントムハイヴ社はかなり有名な玩具メーカーで、行事などが絡んでくるとその忙しさは大人でさえ目が回ってしまうほどに違いないのに、それをこんな子供が責任を負うだなんて、かなりの重労働だ。

今回の行事はハロウィン。
そのイベント当日の一ヶ月、いや、もっと前から新たな玩具の案件や店舗とのやり取りで慌しく、しかしその間にも通常業務がある。
それを詰めて詰めて詰めて詰めて・・・そしてハロウィンの今日、全て終わったのだ。
これで明日から忙しさは消え、普段の仕事の量で過ごせるだろう。

「お疲れ様でした、坊ちゃん」

微笑みながら机の上に散らかっている書類を綺麗に集めていく。これを他社に送るのは執事である自分の仕事だ。

「・・・もうしばらく仕事はしたくない」
「それは無理でしょうね」

明日にはまた明日の仕事が来る。
それを溜めてしまえばまた今日のようなしわ寄せがくるだろう。今回のは行事絡みで仕方の無いことだが、そうではなく自ら窮地に追い込むだなんて真似をファントムハイヴ当主がしていいわけがない。
そしてそれを見逃していいファントムハイヴ家の執事ではない。

「ですが忙しい時期と比べたら仕事の量もぐんと減りますし、楽に思いますよ」
「だが仕事はあるだろう」
「それはもう諦めてください」

子供のように(いや、子供なのだが)駄々を捏ねるシエルにピシャリと言い放てば、小さな声で悪魔め、という憎しみこもった声が聞こえてくる。
裏社会としてのシエル・ファントムハイヴはあんなにも恐れられている存在だというのに、今はそんな雰囲気が微塵もないのだから笑えてしまうものだ。
セバスチャンは苦笑しながら、はいはい、と手の内にまとめた書類を持ってきたワゴンへと乗せ、そして空いた手でワゴンに乗っていた皿を持ち上げ。

「これを食べてまた明日から頑張ってください」

沢山のクッキーが入っているソレを机の上に置いた。

「・・・クッキー?」
「はい。今日はハロウィンですので、特別ですよ」

もうディナーも終えた後なので、本来ならばスイーツを食すのは厳禁なのだが、ここまで頑張った主人に何も無しでは少々酷だろう。
そして今日はハロウィンだ。この日くらいいつもより多くスイーツを食べさせても罰は当たるまい。
タナカさんにバレたら甘やかすな、と怒られてしまいそうだが・・・。

「ん」

のそのそと背凭れから起き上がりシエルはセバスチャンの言葉に頷く。
その声はどこか素っ気無いものだが、表情は嬉しいという文字がありありと書かれており。
・・・―――そこで違和感に気が付いた。

「・・・?」

別に嬉しそうな表情を表に出さないように、けれどそれに失敗しているシエルはいつもの姿だ。変なところなんてない。
見た目には何も変わったことなど――――

(あ、)

セバスチャンはクッキーに手を伸ばしたシエルの手を掴み、止めさせる。
いきなりクッキーを食べようとしたことを制されたシエルは驚いたように顔を上げてセバスチャンを下から覗き込むような形で首を傾げた。

「なんだ」
「・・・・」
「おい?」
「坊ちゃん、少々よろしいですか?」
「あ?なんだンっ・・・!」

シエルの手首を掴んだまま、上から蓋をするかのような要領でセバスチャンはシエルに口付ける。
いきなりの口付けに驚いた彼は掴まれた手首を自分の方に寄せようとするが、それを離すことはせず、逆に落ち着かせるように親指で手首を撫でれば、力が抜けていくのが分かった。

「っなんだ、急に」

口腔をグルリと一周舌を這わせてから開放すれば、頬を若干赤く染めたシエルはもう片方の手で口元を押さえ聞いてくるのに対し、セバスチャンはヒヤリとした声音で名前を呼んだ。

「坊ちゃん」
「・・・・」
「ディナーの後、そして私がここに来るまでの時間に何かお食べになりましたか?」
「・・・食べてない」
「嘘ですね」

セバスチャンの質問に目が泳ぎ始めたのが、もうすでに答えだろう。
しかし彼は諦め悪く再び、食べてない、と口にした。

「ほぉ、あくまでシラを切るつもりですか」
「別に、食べてなんか」
「この香りと!そして口の中のお味がチョコレートなんですよ、坊ちゃん!」
「いッ!はなへ!きさは!」(いッ!離せ!貴様!)

怒りに口元を引き攣らせながらシエルの口に指を差し込んで引っ張り上げれば、シエルは顔を歪ませながらその腕をバシバシと叩いてくる。

――――そう、違和感は香りだったのだ。
いつもよりも甘い香りがシエルの周りに漂っており、けれどそれは口の中だったせいか少し薄くなってしまっていて、すぐには気がつけなかったのだ。
けれど先ほど口付けした際に彼がチョコレートを食べたことはハッキリと分かった。

「それでもまだ嘘だと仰るのですか?」
「ひぃはらはなへ!」(いいから離せ!)
「まだ認めはしない、ということですね」

では、もう一度確かめてみましょうか?
瞳を赤くして耳元で囁くように言えば、一瞬どういう意味なのか分からなかったらしい彼は蒼い瞳をキョトンとさせたが、すぐにどういうことなのか理解し、セバスチャンの赤い瞳に劣らないほど顔を真っ赤にさせて首を横に振った。

「どうしてです?食べてないと仰るのでしょう?ならばもう一度確認した方が早いじゃないですか」
「ひや、だかは・・・」(いや、だから・・・)
「さぁ、坊ちゃん?」

掴んでいた手首を離し、そして自由になった方の手に嵌めてある手袋を口で外す。そしてその手もシエルの口へともっていき、その手の親指と人差し指で彼の前歯を支え、口を閉じないようにさせる。
その間に口角を引っ張っていた方の手を抜いて、同じように口で手袋を外して彼の頬に添えた。

「ん、やっ・・・」

開いた状態のままの口に己の唇を寄せるが、まだ唇と唇を触れ合わせることはせずに相手の唇に舌を這わせる。
シエルは恥ずかしそうに瞳を閉じてしまい、折角の美しい蒼い瞳が隠れてしまったが、恥ずかしさに震えるその姿も随分と可愛らしいものだ。

くちゅり、とワザとらしく水音を響かせながら、ゆっくり・・・ゆっくりと舌を口腔へと忍ばせていく。
親指と人差し指で開かせている歯のアーチをくぐり、顎裏を舌先でつつけば、大げさなほどにシエルは身体を揺らした。開きっぱなしの口からはチョコレートの香りを含ませた甘い吐息が零れ落ちる。
このまま口を無理やり開かせ顎を痛めさせてしまっても嫌なので、そっと唾液で濡れた指を引き抜き、しかし口を閉ざす暇を与えずにそのまま唇と唇を触れ合わせた。

「んむぅ・・・!」

ピッタリと隙間がなくなるほどくっつけ合わせ、否、それ以上に相手の唇までも食べてしまう勢いで貪る。
奥の方に逃げている舌も引きずり出し絡め合わせれば、やはりチョコレートの味がセバスチャンの口の中にも広がっていく。
その味が決して美味しいとは思わない。けれどシエルの唾液と絡みついたものならば甘く感じる、なんて。

「ほら、やっぱりチョコレートの味がしますよ」

やっと少しだけ唇を開放し、顎に伝った唾液を舌で舐め取ってやる。
シエルはそれにも小さな声を上げつつ、降参したように荒い息遣いのまま首を縦に振った。

「たべた」
「ほら、やっぱり」
「だってハロウィンの仕事をしたのに、どうしてそのハロウィンの日に、お菓子が食べられないんだ」
「スイーツを食べたでしょう」
「・・・それはいつもと同じ、だろう」

若干頬を膨らませシエルは言う。

「あんなに仕事したんだ、少しくらい、いいだろう」
「で、そのチョコレートはどこから?」
「・・・昨日の会議で配られた試供品の1つ」

彼の答えにセバスチャンは、あぁそういえば・・・と昨日のことを思い返す。
ファントム社から新たに発売するチョコレートを昨日各々の業者と共に試食したのだが、その個数と彼が食べた紙くずが一致しているかまで把握していなかった。
まさかそんなことをするなんて思いもしなかったからだ。

「本当に貴方という方は・・・」
困った方ですね。

これ見よがしにため息をついてやれば、シエルは僕の勝ってだろうと眉を吊り上げ、素早く腕を伸ばしてセバスチャンの焼いたクッキーまでもその口に入れてしまった。

「こら坊ちゃん」
「・・・・」

彼はモゴモゴと口を動かしつつもこちらを睨みつけてくる。
その間、ずっと口の前に手を置いておくなんて学習したものだ。

「・・・別にそんなチョコレートをつまみ食いしなくとも、ちゃんとクッキーを焼いてきて差し上げたじゃないですか」
「・・・・ん」

ゴクリとクッキーを飲み込み、小さく頷いて。
どこか罪悪感のような色を瞳に浮かべながら、持ってくるとは思わなかった、と不機嫌を装う声で呟いた。
ここで素直に謝るような彼ではない。
(まぁ、別に謝って欲しいわけではないですが)
先ほど怒ったのはあくまで“執事として”であり、本来ならば多少のつまみ食いなどなんてことないだろう。
だが問題なのは“恋人として”だ。

「そうでしょうね。私がハロウィン用にクッキーを焼いたなんて思わないでしょう」
「だろう?」
「ですが、それの代わりに他のチョコレートを口にするのはいただけませんね」

仕事でならまだしも、貴方は甘いものが食べたいが故に食べた。
それが許せないなのだと言うが、シエルはセバスチャンが何を言いたいのか分からないらしく、眉を寄せ首を傾げた。

「何が言いたい」
「・・・貴方は本当にこういうことに関して鈍いですね」
「なに?!」
「では、貴方の口にしたチョコレートですが・・・それはどなたが作ったものですか?」

自分を馬鹿にした物言いにシエルは噛み付いてくるが、それを無視して質問を投げかける。
すると納得していないような顔をしながらも、その質問の答えを考え、口にする。

「・・・工場?」
「ということは?」
「ということ、は?」
「私が作ったものでは無い、ということですよね」
「・・・そういうことになるな」
「まだ分かりませんか?」

平然とした顔で答えるシエルにセバスチャンは顔を近づけて訪ねれば、彼は唸るように顔を顰めさせ・・・そしてじわじわと頬を赤くさせていく。
きっとセバスチャンの言いたいことが分かったのだろう。
それに内心ニヤリと笑いつつ意地悪気に再び。今度は耳元で囁くように、まだ分からない?と囁いた。

「“言葉”が必要ですか?」
「・・・・」

“言葉”(アイシテル)が必要かなんて、我ながらなんて卑怯なのだろうか。
トリック・オア・トリートの方がまだ優しいだろう。
それに気が付いているのかいないのか分からないけれど、シエルは頬を赤くさせたまま顔をフイと横に逸らし、要らない、と答えた。
けれどすぐに、でも、と言葉を付け足す。

「“言葉”はもう知っているから要らないが、まだ・・・分からない」

“言葉”(アイシテル)はもう知っている。でも分からない。

(―――コトバ イガイデ オシエテ)

その返事にセバスチャンは瞠目し、しかしすぐに優しく瞳を細めて微笑みかける。

「ほんとに、貴方は・・・」

今自分は本当に微笑めているのだろうか。もしかしたらただのニヤケている、だらしない顔になっているのではないか。
まぁ、どちらでもいい。すぐに顔なんて見えなくなる。

「愛していますよ」
「・・・結局言ったじゃないか」
「言葉以外で愛情表現もいいですが、やっぱり言葉は大切かと」

ぎゅっと力強く抱きしめれば、シエルは、フン、と鼻を鳴らしつつも満更でもなさそうにセバスチャンの背中に腕を回してくる。
もしかしたら彼はこうなることを分かって言ったのかもしれない。彼はゲームの天才と謳われているのだから。
もしそうなら少し悔しいけれど、嫌な気分じゃない。
こういう“お誘い”ならいくらでも釣られてやろうじゃないか。

「セバスチャン・・・」
「なんですか?」

セバスチャンの胸板に顔を埋めているので、くぐもった声で名前を呼ばれる。
それに優しく頭を撫でながら聞けば、ギュッと背中に回された腕で燕尾服を掴まれた。
その手が震えているのは恥ずかしさからだと知っている。
そしてこれから言われるであろう言葉も―――

「甘いもの、欲しい・・・」
「喜んで」







仕事も終わって、この後は彼らの時間。
夜の闇に隠れた、あまぁい時間。






甘いもの
私以外、禁止!
(Trick or treat?――― どっちも頂







****
あとがき
別にハロウィンネタじゃなくてもいいんじゃないか?
なんて言わないで!私が一番思ってる!←

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【2011/10/21 23:14 】 | Text | 有り難いご意見(0) | トラックバック(0)
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