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【2024/05/03 13:18 】 |
*001

傍にいてなんて言える訳ない。



 


真夜中に目が覚めて、熱い息を吐いた。
身体がダルイのはきっと悪夢のせいだろう。
もしかしたら精神的に揺さ振られたせいで、少しの熱も出ているのかもしれない。
シエルは舌打ちをしながら前髪をかき上げ、また息を吐く。
耳には無音が響き渡り、どこか暗闇に独りぼっちでいるような気がして心地良かった。
(随分と慣れたものだ)
昔はあの夢を見た時は気持ちが落ち着かず、見えないものに怒りをぶつけようとしていたものだった。
けれど今は冷静に苦笑している自分がいる。
これは過ぎた年月のせいか。それとも別の存在がいると分かっているせいか。
どちらにしても昔よりは良くなったのだろう。
(アイツは目が覚めたことに気がついてるんだろうか)
その別の存在を思い出し、考え始める。
今は何をしているのか。
眠っているとは考えられない。
それとも、まだ仕事をしているのだろうか。
(たまにはアイツに暇でも出してみるか)
それを言った時、どんな顔を見せるだろう。
きっとそんなものはいらないと拒否するだろうけれど。
(あぁ・・・)
ゴロリとうつ伏せになり、白い枕に顔を埋める。
(余計なことを考えた)
なぜアイツのことを考えてしまったのだろう。
悪夢のせいで気持ちが弱っていたからだろうか。
そんな弱っているときにアイツのことを考えてしまったら。
(―――別に、どうってことない)

寂しいなんて感情
僕には不必要だ。

このまままた眠ってしまおう。
そしたらきっと朝までには熱も引いているだろう。
何もなかったように元通り。
物事が起きてしまったことをやり直すことは出来ないけれど、見てみぬ振りをすることは誰にでも出来る。
シエルは顔を埋めたまま無意識に唇を噛み締めながら目を閉じた。

しかしすぐにその目は開くことになる。


「坊ちゃん」



End

 

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【2011/03/24 18:23 】 | Little Box | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
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