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【2024/04/26 00:50 】 |
呑み込む前の熱(大人)
大人の貴方。




喉が渇くときはどういう時か。
それは暑い日であったり、塩辛いものを口にした時であったり。
他にも、運動した後であったり、声を沢山上げたときであったり・・・―――

「喉、痛い」
「あれだけ啼けばそうでしょうね」
「・・・貴様、少しくらい申し訳ない顔をしたらどうだ」

少し掠れた声で言いながらセバスチャンの顎下に指一本を添えて瞳を細める。
きっとその姿は先代に似ているのだろうと考えながらもニコリと微笑み、申し訳ありませんでした、と少しも感情を込めずに言葉を吐き出した。

「この行為は同意の下です故、私のせいだけになるとは露知らず」
「本当にいつまでも嫌味な奴だな」
「坊ちゃんほどではありませんよ」
歳を重ねるにつれてその嫌味にも磨きがかかっていますしね。

顎に触れる指はそのままに、伸びている髪へ手を伸ばし一房を掴む。そしてゆっくりと手を手前に引けばスルリとセバスチャンの手から逃げ、鎖骨辺りにその身を落とした。
シエルもセバスチャンのそれを咎めることなく、チッ、と舌打ちをしながら顎下に触れていた手で前髪を乱雑にかき上げて、息を吐く。

「たとえ磨きがかかっても、まだお前には勝てないか」
「人間の餓鬼ごときが悪魔と口論して勝てるとでも?」
「だが負けることはないだろう?」

シエルは身体を動かしてセバスチャンの胸元へと擦り寄る。
少しの汗の匂いと先ほどまで行われていた行為の色濃い匂い。そして彼特有の甘い香り。
セバスチャンは遠慮なくその身体を抱きしめ、額に口付けた。

「まぁ、そうですね」

―――勝てはしないが、負けることもない。
きっと自分達の関係はそういう感じだろう。
悪魔の自分も、この人間の餓鬼に勝てたと思えた時は一度もないのだから。

そのセバスチャンの思考を読み取ったのか、シエルは満足そうにクスリと笑い、彼もまたセバスチャンの首に腕を回す。そして。

「なぁセバスチャン。喉が渇いた」

顔と顔が近づき、言いながらコツリと額と額を合わせた。

「何か冷たいものでもお持ちしましょうか」
「別に冷たくなくてもいいんだ」
「何でもいいから何かを飲みたいと?」
「そういうことだ」

そう言いながらも、彼は腕を解くことはせずにむしろもっと巻きつけてくる。
これでは飲み物が取りにいけないのでは?と内心で首を傾げるも、自分も彼と離れたくはないために、己も彼を腕から開放することはしない。
するとシエルはもう一度「喉が渇いた」と言い、甘えるように鼻を擦り合わせたのを見て、セバスチャンは彼の意図を理解する。理解すると共に口角が上がってしまうのは仕方が無いだろう。

「分かりました」

セバスチャンはシエルを抱きしめたまま一転し、彼をベッドに押し付ける。
抵抗も何もしない彼を瞳に映したまま、すでに薄く開いているその唇に口付けた。

「んっ・・・・」

鼻から抜けるような声は喜に染まっていて、自分の答えが間違いではなかったことを示している。
(一体こんな強請り方、どこで憶えてきたんですか)
歳を重ねるごとに嫌味だけではなく、このようなことにも磨きがかかってきているのだから堪ったものではない。
――――いつか口論ではなく、別の何かに負けてしまいそうだなんて。

それでもまだ負けるつもりは無い。
セバスチャンは口付けたまま擽るように太腿の内側に触れ、先ほど髪の一房に触れたように手を動かせば、シエルは身体を跳ねさせ、息を詰まらせる。
だがその太腿は髪のように逃げることはなく、否、逃げることは出来ず、セバスチャンの腕からいなくなることはない。

「ッ・・・ふ、ン・・・う・・・ん」

触るか触らないかの感覚で撫で、時には彼がしたように指一本でなぞるように。
シエルは嫌がるように、そして善がるように腰をくねらせ、セバスチャンの肩を叩く。けれどまだ開放することはない。だってまだ彼の願いは叶えていないのだから。

まだ駄目ですよ。
そう言うかのようにセバスチャンはシエルの一番弱いところを優しく撫で、その動きを鈍らせる。
その思惑通り彼は肩を叩く手を止め、代わりにその快感を逃がすようにセバスチャンの肩に爪を立て、耐えるように身体を震わせている。
(ん、いい子ですね)
内心でそうシエルを褒め、そしてやっと口腔内に己の唾液を流し込む。
とは言っても、すでに舌が絡み合った口腔内は濡れた音を立てていて、今更だと言えば今更だろう。

「ん・・・ン・・」

それをシエルはゴクリと喉を鳴らしながら飲み込んだ。
こんなもので喉が潤うのだろうかと思わなくも無いが、きっと彼は喉を潤すことを目的としているわけではないだろうから問題は無いだろう。

「・・・美味しかったですか?」

唇を離し、まだ肩で息をしている彼にそう意地悪く聞けば「んなわけあるか」と悪態をついてくる。
その様子がいつもよりも子供染みていて“あの頃”のようだ、と頬に軽く口付けた。

「な、に?」
「いいえ、何も」
「・・・可笑しなヤツ」

そう言いつつもシエルの頬は若干緩んでいて、それを自身でも気が付いているのか、顔を隠すようにセバスチャンの首筋に顔を埋めてしまう。
少々苛めたことに関してのお咎めはないらしい・・・―――頬に口付けしたことで機嫌が少し良くなったのか。
(やはりまだまだ餓鬼ですね)
セバスチャンも頬を緩め、シエルの頭を撫でた。

「では喉も潤んだことですし」

―――また啼いていただきましょうか。

口付けの最中に灯ってしまった己の熱を冷ますために、否。
この可愛らしい恋人を愛する為に、

セバスチャンの手は再び彼の身体へと・・・。




呑み込む前の熱

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【2011/11/15 23:43 】 | Project | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
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