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【2017/03/28 09:35 】 |
15.待つ
五萬打御礼企画





(遅い)
シエルは本日何度目か分からない寝返りをうった。
すでに月は高い位置まで上がり世界は静寂に包まれていたが、それは決して自分に眠りを誘ってくれはしない。
いや、もしかしたら誘おうとしてくれてはいるが、自分がそれを拒絶しているのかもしれない。
シエルは随分と前に掛けられたシーツをもう一度自分で引っ張り上げ、鼻元まで隠した。

おやすみなさい。
そう声を掛け、執事は部屋を出て行った。
その後姿は此方を気にかけているふうもなければ、むしろ自分に興味がないと書いているような背中だった。
だからその背中にシエルは声を掛けなかった。
今日は来るのか、と。

(聞くわけもないがな)

シーツに隠された中で、シエルは苦笑する。


セバスチャンがシエルの部屋に通うようになってから、幾日の月日が流れたのだろうか。
きっかけは特にない。いきなり寝室に来たかと思えば、そのまま自分を抱いた。
その時に交わされた言葉は簡単なもので。
『抵抗しないのですか?』
『抵抗したら貴様はやめるのか』
『いいえ、やめません』
たったそれだけだった。
愛を囁くわけでもなく辱めを受けさせるためでもなく、セバスチャンはシエルを抱き、シエル自身もそれ以上なにかを喋ることなくセバスチャンを受け入れた。
なぜ受け入れたかのか、自分でもよく分からない。
寝室に奴が現れたとき、ついに来たかと、まるで来ることが分かっていたような自分がいて驚いたことはよく憶えている。
けれどただそれだけ。本当にただそれだけで、別に嫌だの気持ち悪いだのを考えることはなかった。
それからセバスチャンは気まぐれにシエルの寝室に来ては抱くようになり、現在もそのままソレが続いている。


考えてみればみるほど可笑しな話だ。
なぜそんな馬鹿な奴を自分は待っているのだろう。
想いが通じ合っている相手を待つのならば分かるけれど、相手とはそんな関係ではない。
それなのに自分は奴を待っている。
それの答えが書いてあるカードをシエルは持っていたが、内ポケットに入れて見ないふり。
この“ゲーム”はきっと答えを知ってしまった方が負けだろう。
どんなゲームだろうと負けるつもりはない。

「キィ・・・」

突然、扉が開く音が静寂に響き渡る。
シエルは思考を停止させ、その存在に意識を傾けた。
自ら相手を出迎えるようなことはしないので、シーツをめくるような真似もせずにそのまま瞳を閉じて固まっている。
相手も同じようなもので、声を掛けることもせず、無言でベッドへと近づいてくる。
ギシリとベッドが揺れ、自分を包み込んでいた暗闇が更に色を黒く染め上げたのをきっかけに瞳を開ければ。
赤い赤い、情欲に濡れた悪魔の瞳。
隠しきれていないのか、それとも元々隠す気がないのか。
どちらにしても少々見っとも無い気がして、この関係を持ってから初めてシエルは口角を吊り上げた。

「・・・・なにかありましたか」

それに驚いたような表情を一瞬だけ見せたがすぐに元の顔に戻り、セバスチャンもあれから初めて言葉を吐く。

「いや?いつもの貴様だと思ってな」
「いつもの私ですか」

どんな私だと聞くことはせず、瞳を細めるだけ。
それもどこか気分が良くて、セバスチャンに自ら手を伸ばせば柔らかくその手を掴まれた。

「今日はどうなされたのですか」
「たまにはいいだろう、こんな日もあって」
「・・・たまには、ね」

何だ気に食わないかと聞けば、いいえ、と少し素っ気無い返事が返ってくる。
けれどどう考えても気に食わなさそうな様子だ。
“たまに”でも、こんなことがあるのが嫌なのか。
それともこんなことが“たまに”しかないのが嫌なのか。
答えの書いたカードを手に取ろうとしないシエルには分からない。
だが今はそんなこと、どうでもいい。

自分は相手を待っていたのだ。
すなわちそれは抱かれるのを待っていたということ。
これ以上焦らされるのはごめんだ。

「ほら、喰うんだろ?」



これから自分が相手を喰らおうと思っているにも関わらず。
シエルは唇を舌で濡らして煽りながら、そんな言葉を差し出した。



end
 

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【2011/05/15 14:08 】 | Project | 有り難いご意見(0) | トラックバック(0)
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