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【2018/10/21 17:49 】 |
交差

甘き死よ、来たれシリーズ





何かがおかしいと感じていた。
いや、歪という方が正しいだろうか。

覚えがない記憶、
まるで己を置いて進んでしまったかのような時刻、

そして、

悪魔のふと見せる表情。

どこか切なそうな、寂しげな顔をこの悪魔は浮かべるような奴だっただろうか。
もっともっと嫌みったらしくて、アイツ全てが皮肉に固められたような存在だと思っていたのだが、それは思い違いか。
――――いや、ムカつく台詞を口にするところは何も変わっていないけれど。
アイツ自身はそんな表情を隠そうとしているらしいが、四六時中に近いほどずっと一緒にいるのだ。バレないわけがないだろう。
しかし・・・それをバレないようにするのがアイツである筈なのに。
そもそも、どうしてそのような表情を浮かべるのか。

分からない。
わからない。

けれどもっと分からないのは、

この胸の痛みだ。

アイツのふと見せる表情を一瞬だけ目にする度に、ズキリと胸が痛む。
そして、もどかしく感じるのだ。
何も出来ない、己が。
けれどそれは変な思考だ。
どうしてあの悪魔がそんな表情を浮かべるのか分からないのに、己が悪いのだと“知っている”
分からないのに、知っているなんて、それこそ意味が分からない。
だが、アイツがあんな表情をするのは己のせいで、けれど己ではどうすることも出来なくて。

そしてなぜだか、


「うそつき」


そう思う“僕”がいるのだ。

“悪魔”の言葉も。
“悪魔”の仕草も。
“悪魔”の表情も。

うそ。

ぜんぶ、ぜんぶ、

うそ。

ふと見せる、“彼”の表情こそ、


ほんとう。


―――――じゃぁ、これは?





『イエス』

セバスチャン・ミカエリスは、

『イエス』

炎を放った。

『イエス』

たった一人の肉親も。




炎の中に立つ悪魔の姿は、

ほんとう?




「あぁあぁあぁあぁあぁ、あぁああ!!」
「坊ちゃんッ!!」




僕の復讐相手は、


「僕の両親を殺したのはお前だったのかっ」

ほんとうに?

「セバスチャン・ミカエリス!!」


濡れた身体は酷く震え、ここがどこだかも朧げだ。
けれど目の前にいる悪魔は本物で、扉の傍に立つ眼鏡を掛けた悪魔も本物だ。

己は確か剣を刺したアロイスの姿を追っていて、なのにヤードに捕まって・・・?
いや、もうそんなことはどうでもいい。
今は目の前にいる本物の悪魔を、復讐相手をどうにかしなくては。

ビクリと震えた悪魔の表情は初めて見る顔で、(――――いいや、僕は知っている)
なぜ貴様がそのような顔をするのかと怒りが身体を焼いていく。
あの日のように。(あの日とは、どの日だ)

悪魔は振り返り、眼鏡を掛けている悪魔に何かを一言二言投げかけ、

「答えるべきでしょうか、旦那様」
「その必要はない」

その眼鏡を掛けた悪魔は己を“旦那様”と呼んだ。

違和感違和感歪違和感歪歪違和感違和感違和感違和感歪歪歪違和感歪歪違和感違和感違和感違和感歪歪違和感違和感

「命令だ」

――――しかしそれに抗う為の“記憶”が己にはない。

「僕の前から姿を消せっ」

己とこの悪魔を繋ぐ契約の印を露わにさせ、命令をする。
この契約印は絶対。それは目に付く場所にあればあるほど執行力を持つ。
ならばこの悪魔は、契約という名の鎖で繋がれた犬は命令を聞かざるを得ない。

「・・・・」

背後へと下がっていく悪魔の表情は驚きや悲しみが混ぜ合わさったもので、悪魔らしくない表情。
けれど先ほどのような違和感なんてどこにも感じなくて。
むしろ、いつも彼は泣きそうな顔ばかり、苦しそうな顔ばかりで――――

(愛していると、言ってください)
(…言わない)
(言ってくださいッ!!)
(………言わん)
(嘘でもいいですからッ!!)
(嘘でも言わなければいけない立ち位置に、お前はいない)
(…ッ!!!)


ふと見せるあの表情に似ていた。

「・・・最後に少しだけ、宜しいですか」

その表情をしたまま、悪魔は言う。
下がれと主人である己が命令したというのに、すぐに下がらないとはどういう了見か。
しかしシエルは何も言葉を言うことが出来ず、震える身体を己で抱きしめながら睨みつけたまま。
それを承諾と取ったのか、悪魔は淡く切ない微笑みを浮かべて、

「嘘とは、何だと思いますか?」
「なに?」

いきなり何の話だ。
こちらを惑わす手立てか。
チラリと隣に立つ眼鏡の悪魔に視線を向けるも、彼は無表情のまま相手を見つめている。
ということは、何か危険がある行為ではないのだろう。

「それを聞いて何の意味がある」
「さぁ?私もいきなりそう聞かれて意味が分かりませんでした」
「は?」
「嘘というものはですね、」

彼は、言う。

「真実を守るものなんですよ」






何かがおかしいと感じていた。
いや、歪という方が正しいだろうか。

覚えがない記憶、
まるで己を置いて進んでしまったかのような時刻、

そして、

悪魔のふと見せる表情。

どこか切なそうな、寂しげな顔をこの悪魔は浮かべるような奴だっただろうか。
もっともっと嫌みったらしくて、アイツ全てが皮肉に固められたような存在だと思っていたのだが、それは思い違いか。
――――いや、ムカつく台詞を口にするところは何も変わっていないけれど。
アイツ自身はそんな表情を隠そうとしているらしいが、四六時中に近いほどずっと一緒にいるのだ。バレないわけがないだろう。
しかし・・・それをバレないようにするのがアイツである筈なのに。
そもそも、どうしてそのような表情を浮かべるのか。

分からない。
わからない。

けれどもっと分からないのは、

この胸の痛みだ。

アイツのふと見せる表情を一瞬だけ目にする度に、ズキリと胸が痛む。
そして、もどかしく感じるのだ。
何も出来ない、己が。
けれどそれは変な思考だ。
どうしてあの悪魔がそんな表情を浮かべるのか分からないのに、己が悪いのだと“知っている”
分からないのに、知っているなんて、それこそ意味が分からない。
だが、アイツがあんな表情をするのは己のせいで、けれど己ではどうすることも出来なくて。

そしてなぜだか、


「うそつき」


そう思う“僕”がいるのだ。

“悪魔”の言葉も。
“悪魔”の仕草も。
“悪魔”の表情も。

うそ。

ぜんぶ、ぜんぶ、

うそ。

ふと見せる、“彼”の表情こそ、


ほんとう。


―――――じゃぁ、これは?



『真実を守るものなんですよ』
(真実を守るものだ)





ほんとうだ。










(耳の奥で聞こえた己の声が、チリリと何かを燃やしていった)




(Next Time)


 

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【2012/07/05 21:33 】 | Series | 有り難いご意見(0)
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