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【2017/03/30 15:37 】 |
GameⅡ3
GameⅡの続きです。

「なんだか愉しそうですね、坊ちゃん」

セバスチャンは燭台を持ちながら、声を掛けてくる。
シエルは使用人の部屋へ足を進ませながら答える。

「あぁ、ゲームだからな」
「本当に坊ちゃんはゲームがお好きですね」

「それを知っているから仕掛けてきたんだろう?」

探るように言ってみるが、セバスチャンは何の含みもなく、そうですね、と返してくる。
普通、ここで嫌味の一つや二つ返ってきてもおかしくないのに。
やはり何かが引っかかる。


「おい、セバス」
「ところで坊ちゃん」

再び探ろうと名前を呼ぼうとしたところ、遮られてしまう。
これはワザとか・・・?
シエルは常に注意深くなる。

「なんだ」
「丑三つ時という時刻をご存知ですか?」

「丑三つ時?」
「えぇ。簡潔に話しますと、丑三つ時とは深夜の2時から2時半のことで、その時間帯には幽霊が出ると迷信的に言われていたそうですよ」
「へぇ、そうなのか」

シエルはきちんと聞きつつも適当に相槌を打ちながら辺りを見回す。
正直、こんな遅くに屋敷をうろついたことがないので、興味心身なのだ。
しかし。

「あの、坊ちゃん」

そんなシエルが気に食わないのか、不満げな声が響く。

「昨晩、変な気配がするのは何時だったか覚えていますか?」
「・・・2時頃だろ?」
「丁度丑三つ時ですね」
「そうだな」

しつこく丑三つ時を言うセバスチャン。
『丑三つ時』に何か意味でもあるのか?
シエルは今までの流れと合わせてみるが、別に必要な情報でもない気がする。
それとも、ここにセバスチャンのゲームの目的が?
考えながらも進める足は止めない。

「丑三つ時には、何が出ると迷信的に言われていましたか?」

「幽霊だろ?・・・なんだ、僕がちゃんと聞いていなかったかと疑っているのか?」
「いえ、そういうわけではないのですが」
「じゃぁ何だ。何が言いたい。ハッキリしろ」

ウジウジしたようなセバスチャンの物言いにシエルはだんだん苛立ってくる。
言いたいことがあるならハッキリと言えばいい。
それとも何かのヒントなのか?
だが、もしもヒントならば嫌みったらしいコイツのことだ。
こんなにも分かりやすく言わないだろう。
それとも引っ掛けか何かか?

あれこれ悩んでいると、向こう側から別の灯りが近づいてくる。

「あれー?坊ちゃんじゃないですかっ!」
「ど、どうしたですだか?!こんな夜に」
「セバスチャンも一緒ってこたぁ、何かあったのか?!」
「ほっほっほ」

四人はシエルだと判断すると、途端に心配そうに駆け寄って来た。

「丁度良かった。今お前らの所に行こうとしていたんだ」
「へ?俺たちのところにですかい?」

バルドは不思議そうに首を傾げる。
しかしフィニとメイリンはまだ心配そうにどうしたのかと聞いてくるのを、横でセバスチャンが落ち着きなさいとなだめる。

「僕も夜の見回りに参加しようと思ってな」
「えー!!!!」
「ほっほっほ」

シエルの言葉に四人は驚愕の声を上げる。
なんだ、そんなに驚くことはないだろう。
シエルは少しむっとする。

「坊ちゃん、危ないですよ!!どこに幽霊がいるか分からないんですよ?!」
「そうですだ!坊ちゃんは部屋でゆっくりお休みになっていてくださいですだ!」
「別に平気だろう。この間みたいに独りで屋敷を回ると言っているわけじゃないんだし」
「そうは言ってもですねぇ・・・おいセバスチャンよぉ、何とか言ってくれやぁ」

困り果てて頭を掻きながら聞いてくるバルドに、セバスチャンは、まぁ大丈夫ですよ、と返すと再び驚愕の声が屋敷に響く。

「ちょ・・・お前ら何時だと思っているんだっ!!」
「す、すみませんですだ・・・でも・・・」
「あの過保護なセバスチャンさんが・・・」
「あの過保護で煩くてしつこいセバスチャンが・・・」
「ちょっと・・・貴方達・・・?」
「いや、間違ってはいないと思うぞセバスチャン」

「ほっほっほ」

あまり嬉しくは無い視線を浴びて、セバスチャンは気まずそうにゴホンと咳き込み、話しを戻す。

「とにかく。坊ちゃんは私と屋敷内を回るので問題ありません」
「は?僕はお前と回るだなんて一言も言っていない」
「え?」

話が戻ったと思いきや、シエルの返答で空気が凍る。
な、どうしてこんな空気が凍るんだ?!
元々セバスチャンと屋敷を回る気などなかったシエルは、今の状態に困惑する。

「僕はメイリンと屋敷を回る」
「わ、私とですだか?!」

いきなり名前を出されたメイリンはワタワタと慌て始める。

「何だ、僕と回るのが不満か」
「そ、そんなことないですだよ!!」
「じゃぁ何だ」
「えと・・・あの・・・セバスチャンさんが・・・」

苦笑いしながら言うメイリン。
何なんだ一体。
困惑したままセバスチャンの方に視線を戻すと。

「坊ちゃん?」
「・・・」

神々しいほどニッコリと微笑んでいるセバスチャンが。
あぁ、これはまずいな。
シエルは本能的にそう感じ、一歩下がると。

「う・・・」

逃がしはしないとでも言うように、ガシリと肩を掴まれる。
シエルは助けを請うように三人に視線を送るが、三人は祈るように両手を組み、涙を流しながら首を振る。
お前ら、それでも僕の私兵かぁぁぁぁ!!!

「坊ちゃん?」
「・・・」

眩しいほどの笑顔に迫られる。
逃げたくても肩を掴まれ逃げ出せない。

「なぜメイリンと回ろうとお考えで?」
「・・・メイリンは目がいい」
「私も負けずと良い視力ですよ?」
「・・・もし遠くに敵が出たのなら、拳銃で撃てるし」
「私もナイフとフォークをどこまでも飛ばせますよ?」

「・・・ゲームを投げかけたのはお前だし」
「だからと言って、一緒に回ってはいけないものではないでしょう?」
「だけど」
「坊ちゃん?」

セバスチャンはシエルの耳に近づき、内緒話をするように小さな声で囁く。

「前回のゲームで私が言ったことを覚えていますか?」
「言ったこと・・・?」
「はい、貴方に嫌というほどお仕置きしたでしょう?」
「・・・っ!!!」

シエルはセバスチャンの言っていることを理解した瞬間に、顔を真っ赤に染め上げる。

『もう二度と、坊ちゃんから離れさせるような命令は出さないでください』

セバスチャンに言われた言葉を思い出す。
そして、

『もう二度と私と離れないように・・・いえ、離れられないようにお仕置きしてあげますよ』

お仕置きされた時のことも。

「もしかして、再びお仕置きを受けるのをお望みですか?」
「ば、馬鹿を言うな!!あんな恥ずかしいこと二度とやるか・・・!!」
「では・・・」

セバスチャンは視線を、心配そうにこちらの様子を伺っている三人の方に向ける。
シエルはため息をつきながら頷き、そして再びメイリンの名前を呼ぶ。

「僕はセバスチャンと回る・・・ことになった」
「そ、そうですだか・・・」

その言葉を聞いて、あからさまにホッとしたような顔になる三人。
お前らなぁ・・・。というか、ここまでの執着を知られている執事というのもどうなんだセバスチャン・・・。

「では坊ちゃん。あまり遅い時間になってしまう前に屋敷を回りましょう」

セバスチャンはシエルの背中に手を回し、先へと促す。
シエルは呆れた表情のまま、あぁ・・・と答え、もう一度四人に声を掛ける。

「おい、あまり気を張らなくていいからな」
「え、ですが・・・」
「命令だ。疲れたと少しでも思ったらそこで幽霊退治は終わりだ」

シエルの命令に困ったように視線を合わす三人。
返事は?と睨みつけると、イエッサー!!とすかさず返事を返してくる。
まぁ、コイツらが疲れたと思うか微妙だがな・・・。
シエルは苦笑する。
だが、気配の犯人・・・三人の言う幽霊はきっと見つからないとだろうから、終わるきっかけを命令しておかないと朝まで幽霊退治をするに違いない。
僕の予想が正しければ、この四人が見つけられるような相手ではない。
本当に今日も来るのかが謎だけれど。
もし来たとしても、昨日の反省を踏まえて来るだろうから、余計に見つけられないだろう。
幽霊の相手を出来るのは、セバスチャンだけに違いない。

「じゃぁ、僕は行くぞ」
「坊ちゃん、お気をつけて!!」
「頼んだぜ、セバスチャンよぉ」
「ほっほっほ」
「ご安心ください。ファントムハイヴ家の執事たるも」
「いいから行くぞ、セバスチャン」

シエルはキメ台詞を無視して、先の見えない暗い道を何の躊躇もなく歩き始めた。


****


四人と別れ、シエルとセバスチャンは再び二人で屋敷内を進んでいく。
しかし先ほどは使用人の部屋を目的とし歩いていたが、今回は特に行く場を定めていないので、言葉どおり屋敷内をただ進んでいるだけだ。
普通の屋敷ならばすぐに一週回りきってしまうだろうが、流石はファントムハイヴ邸。
ぐるっと一回りするのには、かなり時間が掛かる。
シエルはキョロキョロと辺りを見ながらゆっくりと進み、セバスチャンはそのすぐ斜め後ろでそんなシエルを見つめていた。

「あの、坊ちゃん」
「なんだ」
「こんな夜更けに屋敷を歩くのは、初めてではありませんか?」
「あぁ、そうかもしれない」

シエルは過去を思い返してみるが、こんな遅くに屋敷を回った記憶はない。
セバスチャンが来る前は、田中が煩かったし。
あぁ・・・でも。
雷が怖くて眠れない夜に・・・。
そこまで考えたところで、シエルは頭を横に振る。
過去の産物に胸を痛めるなんて、無意味だ。
そんなことをしたって、失ったものは戻ってこないし、奪い返せるわけでもない。
空気が重くなったことが分かったのだろうか、セバスチャンが首を傾げながら名前を呼ぶ。

「坊ちゃん?」
「あ、いや。・・・そういえば屋敷を回れと言っていたが、部屋も全部入るべきだったか?」

シエルは立ち止まりセバスチャンの方へ振り返る。
今まで長い廊下を歩いてきただけで、部屋を全て無視してきてしまった。
これでは屋敷を全て回ったことにはならないだろう。

「いえ、全部入っていたらいつ終わるか分からないので・・・。」
入っていただく部屋は、その時に言います。

しかしセバスチャンはそう答える。

「・・・分かった」

シエルは腑に落ちないが、頷いてまた歩き出す。
ゲームを投げた本人がいいと言うのだ。ならば入らなくてもいいんだろう。
しかし、入っていただく部屋って何だ?
シエルは屋敷内にある部屋を次々と頭に浮かべていく。
けれど全く意図が分からない。
一体何なんだ?


昨日の2時頃に訪れた相手。
屋敷を回れという指示。
その中で入るべき部屋がある。
回る時間帯は昨日よりも早い。
・・・丑三つ時?


様々なピースを繋ぎ合わせても、導かれる答えはない。
今シエルはまさにチェス板の上に立っているが・・・。

シエルは横目でチラリとセバスチャンを見る。
セバスチャンも何か考え込んでいる様子だ。
シエルの方に何か仕掛けてくる様子もなければ、話しかけてくる様子もない。

実は駒なんて一つも無いんじゃないか?

シエルはふと一つの可能性を思いつく。
チェス板に立つ前は、相手の駒の位置も、自分の駒の位置も分からなかった。
けれど実は駒など無かった。
あるのはキングのみ。
動いたと思っていた駒はキング本体だったのだ。
まさに僕とセバスチャンの一対一の勝負。
だったら、どうして犯人を捕まえることではなく、屋敷を回るだけでいいのか理由がつく。
だが・・・その意味が分からない。
なぜセバスチャンが、こんなゲームを投げかけたのか。
何をどうすれば勝利になるのか。
回るだけで勝利なわけはないだろう。
それとも部屋に何か仕掛けがしてあって、簡単には回れないようになっているのか?
いや、そんな子供じみたことをするヤツではない。

やはり、ゲームにしては穴がありすぎる。

「なぁ、セバスチャン」

これはどうやら自分から攻め込んでいくしか答えを導くことは出来ない。
シエルはキングという名の自分を、一マス進める。

「あの四人は犯人を見つけられると思うか?」
「・・・いえ、無理だと思います」

セバスチャンは、こちらを警戒するかのように硬い声で返してくる。
新たな情報を漏らさないようにしているのだろうか。
それでもシエルは次々と一手を入れていく。

「それはなぜだ」
「あの四人では太刀打ち出来ない相手だからです」
「じゃぁ、なぜ昨日は気配に気付いた」
「相手が油断していたのでしょう」
「なるほどな。馬鹿なアイツらしい」
「坊ちゃんっ」

セバスチャンはいきなりシエルの手首を掴む。
そしてそのまま立ち止まるものだから、シエルは前のめりになり、危うく転びそうになってしまう。

「貴様!危ないだろう!!」
「坊ちゃん、犯人は何だとお考えですか?」
「あ?」

主人を転ばせそうにしたことの謝罪もなく、質問をぶつけてくるセバスチャン。
執事としての美学はどうしたと言いたくもなるが、そんな美学よりもゲームの方が大事だ。
シエルは手首を掴まれたまま、セバスチャンと対峙する。

「・・・それは答えるべきなのか?」
「おや、もしかして答えを間違えるのが怖いのですか?」
「はっ。そんなわけないだろう。ただ答える必要があるのかと聞いている」

そう問えば、セバスチャンは目を細めて黙ってしまう。
必要か否かの質問に対してこの態度。
嘘をつくことは禁止されているので、答え方に困っているのだろうか。
あぁ、なんだかイライラしてきた。
穴だらけな・・・不完全なゲームに興味はない。

「もういい・・・」

このおかしなゲームを強制的に終わらせてやる。
シエルは掴まれていた手首を振り払い、まるで見下ろすかのようにセバスチャンを睨みつける。

「坊ちゃ」
「このゲームは穴だらけだ」
「・・・」
「貴様、何を隠している」

シエルは不可解なピースを無理やりに重ね合わせていく。
己の持つピースをそのまま、裏も無く、重ねるだけ重ねていく。
解からないなら解からないが答えだ。意味がないのなら、それこそが答え。
このゲームを強制的に終了させるために、シエルはまだキングから遠く離れたところに位置するというのに、コールを叫ぶ。

「貴様は昨晩一瞬潜り込んだ妙な気配の犯人を解かっていたにも関わらず、あの四人には教えなかった。それはなぜか。その時にこのゲームを僕に仕掛けようと考えたからだ」

シエルは言う。

「そしてお前は犯人は僕の命を狙うものではないということを、四人の口から昨晩の出来事を言わせることによってワザと僕にそれを気付かせた。そして言葉を巧みに使い、僕をゲームへと誘い込んだ。だが・・・」

ニヤリと哂う。

「お前の本当の目的は僕とゲームをすることではない。もっと別の何かだ。もし本当にただのゲームならば・・・お前が投げかけたゲームならば、こんなに穴だらけになる筈が無いんだ」

このゲームはな、セバスチャン。

「裏が無い。綺麗過ぎる・・・ゲームと言う名の『ままごと』だ。本当の目的は、に隠されている。だからこの行動に意味はないし、勝利もない。こんなのはただの飾りだ」
違うか?セバスチャン。

怒気を含んだ声音で、正否を問うシエル。
そんなシエルをセバスチャンはしばらく見つめ・・・

「はぁ・・・やっぱり坊ちゃんには敵いませんね」

大きなため息をつく。
その表情は悔しいというより、気が抜けてしまったような表情だ。
どうやら、答えはあながち間違えではなかったらしい。
シエルは内心ホッとする。

「当たり前だ。そんな中途半端な考えで僕に勝てるわけがないだろう」
「別に元から勝ち負けをつけるつもりはありませんよ。ですが、ここまで怖がらないとは・・・想定外でした」
やっぱりゲームだと言ったのが間違えでしたかねぇ。

は?
シエルはセバスチャンの言葉に首を傾げる。

「待て。本当にお前は何を考えて僕にゲームを仕掛けたんだ?」
「ただ怖がらせたかったのです」
「・・・は?」

ちょっと待て。ちょっと待て。
グルグルし始める頭を押さえる。
この執事は何て言った?

「怖がらせたかった?」
「えぇ、ただ怖がる坊ちゃんを見たかったのです」

執事はいじけるように言い、そしてこのゲームの下に隠されている『欲望』をシエルに話し始める。


****


それは、シエルをお風呂に入れる前・・・。
日も傾き夜が深くなってくる時刻。





セバスチャンはディナーに使った食器を洗いながら、今晩のことを考える。
やはり坊ちゃん相手だと、なかなかに苦戦しますね。
セバスチャンは独り苦笑する。


実はこのゲーム。

何だか格好よく始まったけれど、ただのセバスチャンの悪戯に過ぎない。
このゲームの本当の意味。それは、自分の周りに何がいるのか分からない状況で屋敷内を回らせること。
いわば、お化け屋敷を回る状況で、シエルがどのような態度になるかがセバスチャンは見たいのだ。
そんな狙いに気付いたのなら、シエルは絶対にこの話しに乗って来ない。
だから嘘はつかず、巧妙に隠し、ゲームという名の下でセバスチャンは己の欲望に従った。
本当はこんな回りくどいことをせずに、デートで遊園地にでも行ってお化け屋敷に入りたいのですが・・・。
恋人同士だと素直に認めたくないシエルのことだ。
馬鹿か貴様は、と一蹴されるに違いない。
それでも。
自分にだけしか見せない一面を見たいと思うのはいけないことですかね?
無意識に人を魅入らせるシエルを独り占めしたいと思う気持ち。
自分だけは特別なんだと思いたい気持ち。
誰しもが持つ『独占欲』
悪魔は特に独占欲が強い。

セバスチャンはお皿を洗うために手袋を外しているので、外から丸見えの契約印を見つめる。
その印がシエルの目にも刻まれていると思うだけで、ゾクリとしてしまう。

「悪魔を仕えるとは、こういうことですよ」

セバスチャンは昨晩と同じ台詞を吐く。
しかし。
どうやらシエルは一瞬の気配の犯人をすでに導き出したような様子がある。
もしかしたら、それもこちらを惑わすための一手なのかもしれないが。
セバスチャンは嘘をついてはいけないが、シエルはどれだけ嘘をついてもいいのだ。
それはある意味、悪魔と戦う人間のハンデなのかもしれない。
だが、そのハンデが無くてもシエル相手だと苦戦する。


セバスチャンのやりたいことを簡潔に言えば、
『セバスチャン、怖いよー』『おやおや、困った恋人ですねーはっはっは』
ということなのに、シエルが犯人を分かっていたら怖がるところが、捕まえようとするかもしれない。
坊ちゃんを怖がらせるのも一苦労ですよ・・・。犯人を幽霊だと勘違いしてくださればいいのに・・・。
坊ちゃんは幽霊を怖がらないのでは?という疑問を思いつきもしない悪魔。
セバスチャンは全てのお皿を洗い終わり、水道の蛇口を閉める。

「・・・もしも坊ちゃんに全てバレたら、何をされるか分かりませんね・・・」

今朝、何も躊躇無く飛んできたペンを思い出す。
正直あんな綺麗に投げてくるとは思わなかったので、一瞬焦りました・・・。
あの時の笑顔の裏の本音をぼやく。

「しかしまぁ、坊ちゃんが相手なら何をされても構いませんよ」

セバスチャンは執務室で今宵のゲームを深く考えているであろう主人を思いながら、まだ水に濡れている契約印を舌で舐めた。


****
あとがき
このゲームはただの変態執事の欲望によって生み出されたものでした~。
坊ちゃんは振り回されただけっていうね。
でも『セバスチャン、怖いよー』『おやおや、困った恋人ですねーはっはっは』は、私がさせたかっただけ←
しかし書いているうちにずれてしまったorz

 

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【2011/03/24 16:19 】 | Text | 有り難いご意見(0) | トラックバック(0)
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