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【2024/04/27 12:48 】 |
もう1つの世界
リクエスト企画(黒執事Ⅱネタ)

― もう1つの世界 ―


それは暖かい午後。
小鳥たちの声が愉しそうに響き、太陽の光を浴びる木々たちも気持ち良さそうだ。
そんな中、ファントムハイヴの屋敷…客室ではチェスの駒を動かす音が響いていた。

「それで?」
「結局俺はハンナと契約をしたんだ。シエルの身体に入ったままね」

アロイスは難しい顔をしながら、白い駒を進める。

「あの執事どもは邪魔するのに間に合わなかったわけだ」
「うん、そう。すごい勢いで時計塔に登って来てたみたいだけど」

アロイスとは反対に、シエルは口元に笑みを浮かべながら黒い駒を進めていく。
その手付きはすでに先を読んでいるかのようだ。

「ハンナと契約したということは、お前は何を望んだんだ?」
「俺が、というより俺たち二人で望みを決めたんだよ」
「そうか、僕の魂もそこにいるのだから会話は可能なのか・・・」
それにしても。

シエルはチェス板から目を離し、楽しそうにアロイスを見る。

「随分と凄い夢を見たな」
「俺もそう思う・・・なんだか一回の夢の中で一生を終えた気持ちだよ・・・」

アロイスため息をつきながら同じようにチェス板から目を離し、椅子に凭れ掛かる。
もうあんな夢はこりごりというようなため息に、シエルはクスリと笑う。

「だが、そういう人生も無きにしも非ずだぞ?」
「えー勘弁してよぉ。クロードはただの魂変態悪魔だし、シエルとは仲良くないしさー」
「・・・まぁ、話しを聞く限りセバスチャンも僕の知らないところで色々やっていたようだし、ムカつくな」
「だろ?だからこうやってシエルとチェスをやっていた方がずっとマシだよ」
「そうか?」
「シエルは違うの?」
「さぁ?」
「・・・現実のシエルも意地悪だな」

唇を尖らせながら、再び駒を進める。
上手く黒い駒を避けながらキングへと向かっている筈なのに、どうしても行く手を阻まれてしまう。
それは既に先回りをされていたり、逆に取られそうになったり・・・。
やはりゲームはシエルの方が一枚上手らしい。

「それで、最終的にどうなったんだ?」
「まぁ色々あったんだけどさ。簡単に言うとクロードとセバスチャンが戦ってセバスチャンが勝って、それで契約が完了して、俺はハンナに魂を食べられたんだ」
「何でセバスチャンとクロードが戦うことになったのか分からんが・・・お前はハンナに食べられたんだな?じゃぁ僕の魂もハンナが食べたのか?」
「ううん、シエルはさ・・・ふふ、どうなったと思う?」
「・・・早く言え」

シエルは低い声で唸りながら睨み、しまいには白いビショップを取っていってしまう。

「あーっ!取られた!!もー、シエルはクソ短気すぎるよ~」
「ゲームに短気も何もない。それで僕はどうしたんだ?」
「はぁ・・・教えてあげない」

「何?!」
「だってぇ、シエル意地悪なんだもーん」

あっかんベーをしながらアロイスは残りの駒を進めていく。
それに応えるシエル駒の手さばきは先ほどと同だが、表情は苦々しい。

「アロイス・・・」
「何さ」
「・・・そろそろお茶にするか」
「機嫌を良くさせようったってそうはいかないよ俺」
「・・・ひねくれもの・・・」
「シエルに言われたくないよ!!」

ボソリと言った言葉にアロイスは怒鳴り返す。
それはアロイスでなくとも、そういう反応を返してしまうだろう。
シエルも、同じように怒鳴り返そうとしたところ。

「坊ちゃん、アフタヌーンティーの準備が出来ました」

ふと、部屋のノック音と共にセバスチャンの声が聞こえてくる。
シエルは言い返す言葉を飲み込み、代わりに、入れ!と怒鳴る。
そんな怒鳴り声とは裏腹に扉は静かに開き、ニッコリと微笑んでいるセバスチャンがケーキを乗せたワゴンを押しながら、そして紅茶を載せたワゴンを押しながらクロードが入ってくる。

「うわっはー!!クソ美味そうなケーキ!!これ二人で作ったの?」
「はい、こちらは私が、こちらはクロードさんが作りました」

嬉しそうに立ち上がって二人の傍まで行くアロイスに、機嫌良くなってじゃないか・・・とシエルは小さくため息をつく。
それでも、あのままへそを曲げられいても厄介なので丁度良かっただろう。

「じゃぁ、チェスの続きは後ででいいか?」
「えー、どうせシエルの勝ちだからもういいよ」
「お前なぁ、まだ分からないだろ」
「分かるよ。だってシエル本気出してないだろ?」
「っ?!」
「まぁまぁ、まずはお茶にしましょう」

驚いたシエルのフォローをするかのように、セバスチャンが声を掛ける。
そして駒を一つも動かさずにチェス板を移動させ、クロードがテーブルにクロスを引く。
テキパキと執事たちは動いていき、あっという間にアフタヌーンティーの形が整う。
己の主人のお皿を持ち、執事は自分が作ったというケーキを載せていく。

「旦那様、こちらのケーキを」
「ありがとー!クロード」
「坊ちゃんは、こちらのケーキですよ」
「あぁ・・・」

アロイスは喜んでケーキを受け取るが、シエルの表情は晴れない。

「どうしました?」
「・・・いや、厨房は大丈夫だろうかと思って」
「と、申しますと?」
「お前ら、また喧嘩しながらケーキを作ってたんじゃないだろうな?」
「・・・・」
「・・・・」
「さぁ坊ちゃん。このケーキに合う紅茶もご用意いたしました」
「主人の言葉を笑顔でスルーするなっ!!」

そんな二人のやり取りを見ながらアロイスは紅茶を片手にケラケラ笑う。
その隣でクロードはアロイスにケーキを食べさせる為、フォークを持ちながら苦い顔をしていた。

「シエル様、厨房の方の片付けは完璧になさいますのでご心配なく」
「そういう意味じゃないのにねぇ~、本当にクソ面白いよクロードは」
「旦那様・・・」
「おい、そこは喜ぶところではないと思うが・・・」
「仕方が無いですよ、ただの変態なんですから」
「貴殿には言われたくないな」

クスリと哂ったセバスチャンをクロードは睨みつける。
そんな様子にシエルは、また始まった・・・と痛む頭を押さえながらため息をつく。

「主人を前に弛緩しきった顔を晒すとは、執事の風上にも置けません」
「はっ、主人の為に完璧を目指すのは当たり前のこと。だが、それだけではないということを理解出来ていないのか?」
「何を仰います。私は主人の命令以外に主人の心境を汲み取って、完璧以上のことをいつもしておりますが?」
「その冷たい表情でか?」
「甘い顔は二人きりの時にしか出さないのですよ」
「金色が黒に染まった時・・・か・・・」
「えぇ・・・黒に染まった時です」

喧嘩をしていた二人だったが、話しの展開によってフフフと笑い合う。
シエルは眉を寄せながらケーキを食べ、二人の言葉を極力流していたのだが、


「ねぇ、シエル」

アロイスは口に弧を描きながら話し掛ける。
その顔は面白いものを見つけた時の子供のようだ。
頼むから突っ込んでくるなよ・・・。
シエルは呻くように返事を返す。

「・・・なんだ」
「金色が黒に染まった時って・・・」
「・・・」
「昼間が夜になった時ってこと?」
「・・・さぁな。変態執事どもの考えていることなんてほおっておけ」
「じゃぁセバスチャンが甘い顔をする時って」
「もう何も言うなアロイス」
「夜の戯れの時ですよ、アロイス様」
「なっ!!貴様・・・!!」

アロイスの答えを奪い、先に言うセバスチャンに、シエルは赤い顔をして立ち上がり襟首を掴み挙げる。

「どうして貴様はそういうことを言うんだ!!」
「おや、照れているのですか?」
「貴様の常識を疑っているんだ!」
「まぁまぁシエル、離してあげなよ」
「お前は楽しいかもしれないがなぁ」
「あ、クロード。シエルにそのテのことを突かれても答えちゃダメだよ」
「イエス、ユアハイネス」

まるでシエルの行動を読み取るように己の執事に命令を下すアロイス。
珍しく先手を打たれるシエルは唇を噛む。
チェスはあんなにも弱いくせに・・・!!

「先を読まれてしまいましたね、坊ちゃん」
「全て貴様のせいだろうがっ!」
「夜はセバスチャンも優しいんだ~」
「黙れアロイス!!」

このままじゃただ遊ばれるだけだ!!
シエルは赤い顔をしたままもう一度セバスチャンを睨みつけ、後で憶えていろよ、と囁くとセバスチャンは嬉しそうな顔をして、黒に染まった時にですか、と返してくるので思い切り殴る。
そして席に着き、再びケーキを食べ始める。
それでもアロイスの視線が煩いので、別の話題を頭の中で探っていると。

「あ、そうだ」

とあることを思い出した。

「アロイス、今度ロンドンに一緒に行かないか?」
「え?ロンドン?」
「あぁ。僕のタウンハウスの方にな」
「どうしたの急に。何か企んでるわけ?」
「失礼な奴だな。タウンハウスの方にソーマとアグニがいるのを知っているな?」
「あぁ・・・あのカレー王子ね」
「そいつらが遊びに来いって煩いんだ。だからエリザベスやお前を誘って皆で行こうと思ってな」
「へぇ、珍しいね・・・」

アロイスは目を見開く。

「別に無理にとは言わない」
「いや、行くよ!!絶対に行く!!」
「他に誘いたい奴がいたら言え。あと、あの三つ子も連れて行く」
「え?トンプソンとティンバーとカンタベリーも?」
「是非ともうちの使用人3人に仕事を教えてやって欲しくてね」
「・・・シエル、最初からそれが目的なんじゃないの?」

疑いの眼差しをシエルは無視して、紅茶を飲む。
それは肯定にしかならないが、実際本当にそれが目的なのだから構わない。
逆にバレていた方が好都合だろう。あの三つ子の主人はアロイスなのだから。
シエルがそれを目的としていると分かったのならば、文句を言いつつもキチンとそれをしてくれる。
余計な悪戯がついてくることも多々あるけれど・・・。

「まぁいいや。分かったよ。ったく、シエルって結構勝手だよね」
「悪いな」
「別にいいよ。あの三人がすることだしさ」
日付が決まったらまた連絡してよ。

クロードにケーキを食べさせてもらいながらアロイスは笑う。
シエルもそれを見ながら、あぁ、と頷き残りのケーキを自分で食べ始める。
するとセバスチャンがシエルの隣で膝を折り、シエルを真剣な眼差しで見つめてくる。

「・・・なんだ」
「あの、是非とも坊ちゃんも私の手でケー」
「自分で食べる」
「ですが・・・是非一度でもい」
「自分で食べる!お前は厨房の掃除でもして来い!」

頬をほんのり赤く染めながらシエルは怒り、少ししゅんとしたセバスチャン。
そんなセバスチャンを見たクロードがニヤリと笑いかけ・・・。
再び喧嘩になったことは言うまでもない。


****


「あいつらは本当に何なんだっ!!」
「まぁまぁシエル、落ち着きなよ」

部屋はアフタヌーンティーの前の状態に戻り、二人は再びチェス板を挟んで向かい合う。
あれからセバスチャンとクロードはまた喧嘩を始め、銀と金のシルバーまで持ち出したところで、シエルが出て行けと怒鳴ったのだ。
すでにシエルとアロイスはケーキを食べ終わっていたので、二人がいなくても何も問題はない。

シエルは有無を言わさずに、煩い二人を出て行かせた。

「我慢というものを持っていないのか!」
「あの二人は気が合わないからなぁ」
「主人の前でくらい、上辺仲良くしろ」
「あははっ、あの二人では無理じゃない?」

アロイスは笑いながら白い駒を進め、チェスを再開する。

「夢の中でも、あの二人は仲がいい方じゃなかったと思うよ」
「あぁ・・・さっき話していた夢か」
「お互い嫌味ばかり言ってたし」
「そこら辺は、現実と変わりないんだな」


シエルは肘掛に頬杖を付きながらため息をつく。
だが、あの二人がたとえ夢の中だとしても仲良く姿を想像することが出来ない。
たとえもしあの二人が仲良くしたらしたで、なんだか面倒なことが増えるような気がし、このままでもいいのかもしれないと、シエルは苦笑した。

「ところで、まだ僕がどうなったのか聞いてないが」
「あぁ・・・そういえば言ってなかったね」
「結局、夢の中で僕はどうなったんだ?」
「クソ面白いから、しっかり聞いててよ~。シエルはね」

アロイスが話そうとした時、タイミング悪く部屋にノック音が響く。
話そうとしたアロイスの方が邪魔されたと思ったのだろうか、シエルよりも大きなため息をつきながら、誰?とおざなりに声を掛けると、扉の向こうから女性の声が。

「すみません旦那様。ハンナ・アナフェローズです」
「ハンナ?!」

驚いたアロイスは椅子から立ち上がる。
それはそうだろう。
今日この屋敷に来たのはアロイスとクロードの二人だ。
短く、入れとシエルが言うとハンナは扉を開け、一礼をする。

「何も連絡をせず、屋敷へと上がってしまい申し訳ございません」
「いや、かまわない。セバスチャンたちには会ったのだろう?」
「はい、馬車を止めた時に・・・」
「それより、どうしたのハンナ!何か屋敷であった?」
「旦那様・・・あの」
「おにぃ!!」


ハンナの後ろからヒョッコリと小さな少年が顔を覗かせる。
その顔を見た瞬間、アロイスはハンナと少年の方へと駆け足で近寄る。

「ルカ!!お前、どうしてここに!!」
「だって、おにぃがいないとつまらないんだもん」
「すみません旦那様・・・どうしても旦那様に会いたいと申しておりまして・・・」
「いや、むしろこっちの方が面倒かけさせてごめんね。こら、ルカ」

ハンナにニッコリと笑いかけた後、後ろにいた弟のルカを抱き上げる。
抱き上げられたルカは嬉しそうにアロイスに抱きつき、へへっと笑う。

「ハンナを困らせたらダメだろ」
「だっておにぃ、屋敷に一人でいてもつまらないんだもん」
「今日はトンプソンたちと遊ぶ筈じゃなかったのか?」
「遊んでたよ!かくれんぼして!」
でもさー。

ルカは唇を尖らし、ハンナは苦笑する。

「あの三人、天井とか机の裏とかに隠れるから見つけられないんだもん」
ハンナは気配で分かっちゃうから聞けないしさー。

いじけたような言い方に、アロイスは苦笑する。
それは大変なかくれんぼだ。
兄弟二人でも、探すのにかなり時間が掛かるだろう。
逆に自分たちがかくれることも出来ないし・・・。
悪魔と遊ぶのは、難しいのかもしれない。

「でも、今はシエルと」
「いい。今日はもう帰ってやれ」

椅子に座ったままシエルはアロイスに声を掛ける。
えっ!とルカを抱き上げたまま振り返るアロイスに、シエルはフッと笑みを浮かべる。

「弟が直々に迎えに来てくれたんだろ?じゃぁ一緒に帰ってやるのが兄というものじゃないのか?」
「だけど・・・シエル」
「チェスなんていつでも出来る。今度はもう少し強くなってくれた方が面白くなるな」
「あーはいはい、弱くて悪かったね!」
「おにぃ、チェス弱いの?」
「あぁ。お前の兄はチェスが弱い」
「ちょっ!シエル!ルカに余計なこと言わないで!」
「余計なこと?真実だろう」
「・・・ケーキ食べてた時の復讐?」
「さぁな」

クスリと笑い、シエルも席を立つ。
そして少しチェス板を見つめ、1つ駒を動かしアロイスの方へ視線を戻す。

「ほら、一応下まで送ってやる」
「そう言っていつもシエルは最後まで見送ってくれるよね」
「・・・たまたま流れでそうなってしまっているだけだ」
「ふふ、俺シエルのそういうとこ好きだよ」
「ふん。ほら、お前の執事を拾いに行くぞ」
「うん。あ、シエル」

部屋を出て行くシエルを引き止め、抱いていたルカを優しく床に下ろし頭を撫でる。
そして秘密を話すように手で口元を囲い、耳元で話し始める。

「夢の中のシエルなんだけどさ」
「あぁ」
「悪魔になったんだよ」

それを聞いたシエルは一瞬だけ目を閉じて、そうか・・・と返す。

「え、それだけ?」
「ん?」
「もっと、うっそーとかないワケ?」
「・・・ないな」
「なんだ~クソつまんないの」

両手を頭で組み、スタスタと歩き出してしまうアロイス。
周りでルカがクソつまんないのー、とマネしながらクルクル回りながら走り、それを優しく見つめながらハンナは二人について行く。

「本当に、しょうがない奴らだな」

そんな三人を見つめながら息を吐き、口元に優しい弧を浮かべる。
これから迎えに行く厨房では、きっとまた執事二人は喧嘩をしているだろう。
あの使用人三人は、ハラハラしながら見守っているに違いない。
そんな中、田中は笑っているのだろう。


リジーは今頃、可愛いものを探して歩いているのかもしれない。
今度ロンドンに行くお誘いの手紙を書かないと・・・。
ソーマとアグニにも手紙を送ったら、きっと喜ぶだろうな。
抱きつかれそうになったら、フィニを盾にしよう。
だが、フィニに抱き返さないように伝えておく必要がある。
劉は・・・呼ぶ必要はない。
が、きっとどこからか情報を聞きつけて、あの女と来るんだろうな。
あの抜けているようで抜けていない奴だ。どんなことでも油断できない。
まぁ、もし何かあったら返り討ちにしてやるが・・・。

そういえばこの間、赤い死神が確かカメラを持って屋敷に忍び込んでいたな。
セバスチャンのナイスポーズを撮るとか言って・・・。
今度セバスチャンがアロイスの前で余計な口を聞いたら、あの死神に渡すか。
・・・いや、やっぱりやめておこう。


「おーいシエル!何ボサっとしてるのさ。俺たちのこと見送ってくれるんだろ?」

前の方からアロイスが呼びかけてくる。
ハンナとルカも振り返り、シエルを待っている。

「あぁ、今行く」

シエルは苦笑しながら足を前へと進めた。




部屋に残されたチェス。
黒のナイトが、あと1つ進めば白のキングにチェックメイトだ。
けれど、その動かす位置に黒のキングが置かれている。
最後にシエルが動かした駒だ。
白いキングと黒いキングは仲良く並び、偶然か否か、傍には互いのナイトが位置している。

シエルが最後にナイトを動かせばゲームは終わるはずだった。
けれど動かしたのはキング。


――― チェスなんていつでも出来る。





コールの声は、響かない。




END



おまけ(セバシエver)*優しい雰囲気が崩れる恐れ大!
おまけ(クロアロver)

****
あとがき
10000HIT御礼、リクエスト企画!第二弾!!
aya様からリクエストを頂きました~^^aya様、ありがとうございます!!
『設定全部ひっくりかえしてもいいから、Ⅱ期登場人物全員がほのぼの&幸せ。』みんな仲良し、みんな幸せでほっこり・・・という、優しいリクエストを頂きました。
本編を夢設定という、マジかよ?!設定にしてしまいましたが、いかがでしょうか?
みんな仲良し・・・あ、セバスとクロードは仲が悪い・・・!!!けれど、皆仲良しで書きました(笑)
何かイメージと違う。。。ということがありましたら、お気軽に仰ってください!
本当にリクエストをありがとうございました。これからも、是非いつでも遊びに来てくださいね(^ー^)/

拍手

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【2011/03/24 16:25 】 | Text | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
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